全国16億人の加藤学ファンの皆様

日本全国離島シリーズ第7弾〜沖縄八重山諸島 石垣島・黒島・新城島・竹富島〜
「黒島は静かで最高やったでー&心ここに在らずの旅、ああ我が阪神タイガースよ」

皆様、こんにちは。
今秋は、沖縄 八重山諸島に行って参りました。八重山には初上陸です。


八重山諸島の中で、今回の一番のメインは黒島。以前、沖縄通の知人に、
「八重山で静かな島は?」と聞くと、「黒島」と。人だらけの都会の雑踏に日々いると、たまに静かなところに行きたくなります。

黒島は、本当に静かでよかったです。牛だらけですが人はいないし。観光客も少なく、昼でも静かで夜はもっと静かでした(詳細後述)。

その反対が竹富島。竹富島には、黒島にいる間に次の島として決めたのですが、その人(観光客)の多さにはびっくり(人口は350人ほど)。昼の人口密度は異常でした。どこに行っても、人、人、人・・・。石垣島の離島桟橋から船で10分ほどで行けるのもあり、また船の本数も八重山観光フェリーと安栄観光で各社約20本づつ(/日)あるのもあって、陸はつながってはいませんが隣の駅に行っているよう感覚でした。宿のおじいも、「船の本数が多すぎる」と言っていたほど。石垣島と竹富島を橋で繋ぐという話もある(あった?)そうですが、宿のおばあが言うには、
「そうなると、夜は鍵を閉めなければいけない。」
と治安が悪化することを心配していました。日中の人の多さに、私は石垣島に逃げたぐらいです(夜は、静かでよかったですが)。

ただ、島はきれいです。皆さん、早朝からほうきで庭、道を掃いています。ほうきで掃いているのあって、道には雑草が生えていません。早朝の町並みはほうきの目がきれいに入っており、まるで京都の庭園のように芸術的でした。昔は、学校に行く前に子供たちが掃除し、その後登校したそうですが、おばあが言うには、最近の子は掃除しないので出来が悪いとのこと。島では、昔から掃除するのが習慣のようで、40年ほど前の新聞を見せて頂いたのですが、すでにそういった記事が載っていました。


黒島展望台より望む黒島



なごみの塔から望む竹富島の集落


石垣島、平久保崎灯台周辺の海



川平湾
石垣島は、思っていたよりも広かったです。で、ここまで都会とは・・・・。人口5万人の普通の街。コンビニ、マックスバリュ、マクド、モスバーガー、ドコモショップ・・・。
原チャでもよかったのですが、今回100ccのスクーターを借りてツーリングしました。これが結果的に正解。桟橋から最北の平久保崎までは1時間ほどかかり、途中アップダウンもあり、風も強く、50ccではしんどかったかも・・・。正直、石垣島に対しては、離島への拠点としか考えていなかったので特に期待もしていなかったのですが、海のきれいさには驚きました。平久保崎灯台周辺は絶景ですし、観光地の川平湾もきれいでした。

今回、初めて「ゆんたく」を経験しました。食後に、宿に泊まっている人が集まって島酒を囲んで飲む。結構いいですね。それに、宿のオーナー、島の人が加わって三線を聞きながら酒を交わして。もちろん、今回も何の下調べもせずに島に渡ったので、私は、こんなものが存在することさえ知りませんでした。人によっては、この「ゆんたく」のために民宿に泊まるそうです。

結果的に、今回もかなり充実した旅になりました(阪神のことを除いて・・・)。天気も新城島(パナリ)に渡った日以外は晴天に恵まれました。ただ、毎晩、深夜まで酒を飲んでいたので、最後の方は喉が痛くなって、少し風邪気味になりましたが・・・。体調もそうですが、その土地の印象は、天気、宿、人にかなり左右されます。天気ばかりはどうにもならないので、私は離島に渡る時は最低2泊はします。そんな中、今回の旅の間中、本当に黒島のしま宿「南来」のオーナー(久貝さん)にはお世話になりました(後述)。

さて、今回の「オフ」期間も充実した日々を送り、また「オン」の生活です。今度は、また来春を予定。
では、また来春に会いましょう。

P.S.
こんな辛いシーズンはないです。去年もそう、トラは秋口に弱い、というかプレッシャーに弱い。”打線”のチームが、”点”になったら勝てない。もう一度野球の基本。ストライクを打つ、ボールは打たない。なんでいい球を簡単に見逃して、自分でカウントを悪くして、ボール球で打ち取られて。狙い球は前に飛ばず、ファールになるし。やっぱり、ホームランバッターがいるチームはうらやましい。一発で試合の雰囲気を変えられるし。トラのことを書き続けると止まらない。ああ、辛い、辛い、辛い・・・。



ヤシガニそば


黒島、仲本海岸


「あほー、読売!!!」
湘南より愛を込めて
13/Oct/2008
Manabu Kato



☆Topics; ”Yaeyama islands” Vol. 166 - 170

黒島

黒島へは石垣島の離島桟橋から25分。上から見るとハート型をしているので”ハートアイランド”とも呼ばれ、島全体が珊瑚で囲まれている。人口220人に対して、牛が2,800頭。直径3km、周囲13kmの平らな島。自転車で1日あれば十分に回れる。

島中が牧場で牛だらけ。カラスが多くいたのにも驚いた。サギ、外来種のインドクジャクも。クジャクは、隣の島のリゾートホテルで飼われていたのが台風で逃げ出し、そのまま黒島に飛んできて野生化したらしい。牧場の柵には高圧電流が流れている。あののろのろした牛が、一旦この電流に触れると、無茶苦茶早足で逃げ出すほど。

牛はメスと子供だけ。そう、黒島の牛は、子牛をセリにかけて出荷する。それがどこどこのブランド牛になる訳だ。島の産業が畜産に頼っている中、ここ最近の飼料価格高騰及び原油高はかなりこたえている。それにもかかわらず、子牛価格は下がっており、現在、荒利がほとんどない状態らしい。

島には信号がないし、警察もいない。島の子供たちには、定期的に西表の警察官が島に来て信号講習を行う。病院はないが診療所はある。学校は、小中学校が1つあり、各部落の中間点に位置する。水は西表島から海底を通って運ばれ、電気は石垣島から来る。そのせいか、慶良間に比べると水は潤っていた。店は、商店が1軒だけあるが、25分もあれば石垣島に行けるので、それ程島自体に物資がなくても不自由しない。ゴミは各自が持ち帰る。港にもゴミ箱はない。

道を自転車で走っていても周りは牛ばかり。人とは余りすれ違わないが、会うと会釈してくれる。東筋の町並みは、昔ながらの石垣に囲まれ、竹富島よりももっと原始的。パナリに行くと、その度合いが増した。

仲本海岸では、スノーケリングが楽しめる。干潮時に沖まで歩いてそこでスノーケリングをするのがお勧め。海岸付近でもいいが、海草が多く生えており、沖に出るとカラフルな別世界が広がる。ここの売店「南見家(パイミヤ)」はセルフの店。店に人がいない時は、自分で勝手にお金を置いて買って行く。何とものどかな風景。私は、ここで生ビールを飲んだが、生ビール用のプラスチックカップは冷蔵庫の中にある。ここでビールを飲み、海を眺めながらぼーっとしている時間が最高だった。

昼も静かで、観光客もそれ程多くない。竹富島の2週間分の観光客が黒島の1年分とか。夜はもっと静かになり、私が泊まった「南来」の周りは草むら以外は何もなかったので、風の音しか聞こえなかった。周りが明るくない分、星が無茶苦茶きれいだった。

それにしても、関西人の多いこと。移り住んだ人もそうだが、宿のヘルパーも関西人だった。お客さんもそう。関西の方が多かった。

黒島は島全体が牧場なので、見るところがないと言えばそれで終わりだが、何よりも島の人々が観光化を望んでいないように感じた。昔ながらの土地を自分たちで守り、自分たちの生活を営む。特にそういった土地に対しては、我々外部の人間は、その空間をshareさせて頂いているという気持ちを持つことが大事である。島に滞在中に行われた結願祭では、テントの下に椅子が並べられたが、200人そこそこの島で、おそらくほとんどの人が参加するであろう祭りに外部の人間がのこのこと座るべきではない。そう思って、外から祭りを眺めていた。中には、舞台の周りに陣取って写真を取りまくる観光客もいるらしい。島の所々にある御嶽もそう。島民にとって神聖な場所なので、外部者はむやみやたらに入るものではない。

お土産も港でちょこっと売っているだけで、これと言ったものはない。黒島は静かな空間で本当によかった。



「はとみ」のヤギ牧場



結願祭


日本の道100選の碑


宿の近くで捕まえたヤシガニ


黒島の牛君たち


伊古桟橋


宿で食べたグルクン


黒島の道



八重山諸島、一齧り

今回も食はかなり充実した。そのいくつかを紹介してみる。

1、ヤギ刺し

黒島の食事処「はとみ」で食べたヤギ刺し。結構臭いのをイメージしていたのだが、ルイベ状で臭みもなくおいしかった。冷凍すると臭みが取れるらしい。食堂の前にヤギ牧場もある。但し、ここで食べるヤギはこの牧場のものではないらしいが。


2、ヤシガニそば

黒島の「うんどうや」のそばで、完全予約制で1,500円はするが食べてみる価値あり。八重山そばの上に一匹カニが浸かっている。これが無茶苦茶うまい。何と言ってもあのダシ。カニ味噌たっぷりのダシはたまらなかった。数々の沖縄そばを食べてきた私ではあるが、汁を最後まで残さずに飲んだのはここが初めてである。

3、牛汁

黒島の港からすぐの牛汁の店(南来)で食べられるのが牛汁。昼間しか営業しておらず、私はそのタイミングを逃したのだが、どうしても食べたくて、宿の人にそういった話をしたら、宿のご好意で、帰る前夜の夕食時に私だけに出してくれた。肉は臭みがあるのをイメージしていたが、臭みはほとんど感じず、非常に軟らかかった。肉を一度軽く茹で、その茹で汁は捨てて、圧力鍋に移す。汁で使用の味噌は、宮古の麦味噌と、島の豆味噌を混ぜる。味噌は熟成されたもので、味がしっかりしており、それがこの牛の臭みを消して非常に合う。手の込んだ汁である。


4、竹富島、民宿「内盛荘」の夕食

とにかく、その豪華さに驚いた。肉料理、魚料理を始め、いくつもの小鉢系。ご飯はもちきび入りでかなりうまい。そのボリュームに、食後は腹がいっぱいだった。



5、島酒

石垣島には、「請福」、「白百合」、「於茂登」、「八重泉」、「玉の露」、「宮之鶴」の銘柄の島酒がある。島の人は、好んで「請福」を飲んでたように感じたが、私も黒島では毎晩「請福」を頂いた。「請福」は癖もなく非常に飲みやすい。希少なのが「宮之鶴」。夫婦2人で製造しており、そのキャパが限られているので、余り見かけない。石垣島をバイクで回っている際は、八重泉酒造と「於茂登」の高嶺酒造所を訪問した。残念ながらバイクなので試飲はできなかったが、折角なのでその2ヵ所で泡盛を購入し、他の銘柄も酒屋で買って帰った。


6、八重山そば

私は、沖縄に来ると毎日のようにそばを食う。沖縄そばはまじでうまい。今回、八重山に初めて上陸した私は、八重山そばを十分に堪能した。八重山そばは、沖縄本島のそばに比べると麺が細い。どちらかと言うと、私には八重山そばの方が合っているかも。ラーメンではこってり系が好きだが、八重山そばはあっさりでもOK。結構はまった。



黒島、「はとみ」


黒島、「うんどうや」


竹富島、「願寿屋」


竹富島、「竹の子」


石垣島、「ゆうくぬみ」


石垣島、「明石食堂」


石垣島、「島そば一番地」


黒島、「うんどうや」



石垣島ビール

石垣島に着いて地図を入手して、石垣島に地ビールがあることを知った。その上、その醸造所は、港からもそれ程遠くない。車やバイクで行くと飲めないが、この距離ならタクシーでも行ける。地ビール好きの私としては、これは行かねばとの義務感に駆られ、黒島から竹富島に渡るのに当たって石垣島に戻る際にここを訪問することにした。

場所は、港からタクシーで800円ほどのところ。着いた時は、工場のおばさんが忙しそうで手が話せないと言われたが、折角なので試飲させてくれた。地ビールの種類は全部で5種類。「バイツェン」、「黒ビール」、「(バイツェン)白ビール」、「夕暮れ海岸ビール」、「マリンビール」。「白ビール」は仕込み中で、来週以降にならないと市場に出ないとのことだったが、仕込み中の若い「白ビール」を飲ませて頂いた。他に、出来上がりがかなりいいと言われた「黒ビール」。うまかった。
「金曜日にまたおいでよ。」
とも言われ、その時は竹富島にいたのだが、もう少しビールを楽しみたかったのと、昼の竹富島の人の多さにうんざりしていたのもあって、金曜日に竹富島から船で石垣島に戻って、また工場を訪問した。もちろん、工場の方も私のことを覚えていて、
「2回も来た人初めて。」
と笑っていた。

石垣島ビールはドイツビールである。あるドイツのbreweryと契約して、そのレシピを基に製造している。麦芽もホップもドイツからで、麦の粉砕機もドイツ産というこだわり。生産量は1,800本/2日で、その生産が終われば次のビールというスタイル。私が個人的に好きなビールは、バイツェンビール。あの小麦の風味がたまらない。石垣島ビールでも一番の売れすぎは「バイツェン」。少し色が濃いのが特徴で、一方で、この色がコンテストでは受け入れてもらえないとか。

夏よりも冬の方がおいしいらしい。夏は、商品が出るので出荷に追いつくように生産しているが、冬は夏ほど出ないのでゆっくり製造できる。ビールの消費は島だけでは無理とのことで、本島、内地での消費が多い。1本400円はするビールなので、普通のビールと比べると高いのは高い。ただ、酒税とか作業性(小ロット、少人数)を考えると、その価格はうなずける。ビールを味わいたいのなら、キンキンに冷やしたら駄目と教わった。考えてみたらそうである。冷たすぎると味が分からない。キンキンに冷えたビールは、喉越しを楽しむためである。

2日前に飲んだ「白ビール」を再び飲ませて頂いたが、この2日間で随分と感じが変わっていたのには驚いた。風味もそうだが、味が大人になっていた。この「白ビール」を近々出荷するそうなので、東京のわしたショップででも探してみる。どんな出来上がりになっているか。ビールは、ビン詰めした直後よりも、少し時間が経った方がおいしいらしい。

「夕暮れ海岸ビール」は、夕日の色に近づけることに苦労したそうで、「夕日を見ながら色を照らし合わせて飲む」というのがコンセプト。もちろん、竹富島に戻って、夕日を見ながらこのビールを飲んだ。

今回、製造に関する細かいことまで教えて頂き、非常に勉強になった。ろ過していないものは、酵母が作った炭酸がそのまま残っている。だから、ガスを注入する必要がない。糖度の大事さもそう。酵母が生きているので、糖度が高くなると発酵を続けてしまう。要冷蔵も、酵母を不活性状態で保つため。黒ビールは焙煎した麦だけを使っているのかと思ったら、焙煎した麦だけでは糖化しない(考えてみたらそうだ。酵素が失活しているのだから)。だから、通常の麦芽も混ぜる。私の地ビールのラベルへの拘りも熱く語ったら、親切にも新品のラベルを5種類分すべて下さった。ラベルは、和紙にコピーしたもので、工場の女の子が1本、1本糊付けして手作業でビンに張っていた。

帰りに空港で買って帰ろうとも考えたが、すべて石垣島と竹富島で飲んだ。地元のものは地元で消費するのが一番。何よりもその土地でしかない「環境」というファクターは他の場所では味わえない。



石垣島ビール


5種類のビール


西表島に沈む夕日と共に in 竹富島



心ここに在らず、ああ、我が阪神タイガースよ

これまで国内外を含め色んなところを旅してきた私ではあるが、今回ほど心ここに在らずな旅はなかった。正直、行くのを止めようかとも考えた。
「この大事な時期に東京を離れてもいいのか???」
そう、原因は我が阪神タイガーズである。

私が沖縄を旅している間に、最後の関東でのロード。そもそも7月までの戦いぶりなら、この時期はすでに優勝が決まっていたはず。しかし、8月から調子を落とし、読売に追い上げられ、9月に入ってからは生きた心地がしなかった。沖縄に旅立つ前日にも神宮に足を運び、5点差で勝っていたのに、得意のパターンである継投が裏目に出て、最終的には7点取られての敗北。まさしく悪夢で、その晩は余りの辛さと、トラ戦士の不甲斐なさに腹立って眠れなかった。

那覇では、大体は安宿のドミに泊まるが、今回は、翌日の石垣行きの飛行機の時間が早かったのもあったが、何よりもトラが心配でスポーツニュースを見たくて、願わくは有料チャンネルのスポーツ番組で試合が見られるのではと考えて、旭橋近くのホテルに泊まった。ホテルにチェックインして、まず確認したのがスポーツチャンネルがあるかどうか。なんと、ケーブルテレビでスポーツ放送が見られるでは。私は、荷物を置いて、速攻そのチャンネルを点けたのだが、やっていたのは楽天−西武戦。あほか、なんでこの大事な時にパリーグの消化試合やねん。
「そうか、この試合の後に阪神戦をやるんやろう。」
と思い、しばらく試合を見ていたら、なんと延長戦突入。あほか。で、試合が終わった後は、ボクシングの試合をするし。訳分からん。結局、試合は勝てずに引き分けやし。ホテルに泊まった意味なし。



シーサー


竹富島の道


石垣島、玉取崎展望台



TOMURU


八重泉、ハブ酒


竹富島「民宿 内盛荘」


石垣島、吹通川のヒルギ群落


石垣島、平久保崎灯台

黒島に渡っても、久貝さんを始め、他のお客さんと飲んでる際に、私のトラへの想いを熱く語った。その数日で、すっかり私のトラ好きが有名になって、神戸に帰られたお客さんからも、「今日は試合中止」とわざわざ宿に連絡を頂いたほど(もちろん、その前に私は中止であることは確認済み)。久貝さんからも、その日の横浜戦の先発を三浦と読んだ私に対して、試合直前に、
「今日、吉見だよ」
と教えて頂いた。
ちなみに、久貝さんも野球大好き。今は贔屓にしている特定の球団はないそうだが、沖縄出身の選手を応援している。八重山商工が甲子園に出場した時も、わざわざ甲子園に行ったほど。宴中もトラが気になり、定期的に携帯でチェック。何人もの知人から経過が常に送られてきて、半分宴を楽しみ、半分トラを心配するという変な感じだった。

「阪神の誰が好きなのですか?」
と何度か聞かれたが、もう一度言おう。私にそういったタブーな質問は止めてほしい。意味がない、阪神は家族なのだ。長男だけ好きって言う親がどこにいる。だから、全員好き。選手以外にも阪神球団に係わるすべての人々を。だから、私が着るユニホームには背番号がない。

「ここまでの阪神ファン、見たことがない。」
とも言われ、
「そんなのは当然のこと。私のトラへの想いは、すでに神の領域やから。」
と心の中で叫んだ。

竹富島に渡っても、宴の際にトラを常に気にして、携帯でチェックしていた。もちろん、周りの方々には了解を得て、というか、一緒になって心配して頂いた。読売との直接対決に敗れた直後には、心配して黒島から久貝さんからも連絡を頂いたし。

トラが敗れ、読売の優勝が決まった時には、死を考えたほど。
「もう東京には帰りたくない。」
もし読売が優勝するようなことがあれば、台湾に行くと豪語していた私に、久貝さんを始め、各地から心配のメールが来た。
「台湾に行くって言うてたけど、パスポートないねん。」
というボケで返すのがやっと。

正直、客観的に考えて、沖縄に来る前日に勝ちパターンでありながら5点差をひっくり返されて負けた時点で、こうなることは予想していた。得意の勝ちパターンで敗れ、何よりも打線がつながらない。”線”で勝っていたチームが繋がらなければ勝てる訳ない。継投のタイミングも、回の途中からではトラの中継ぎ陣は機能しないことが多い。そのタイミングを失敗して、どれだけ勝ち星を落としているか。せめてもの救いは、読売が優勝した時に東京にいなかったこと。東京なんかにいると、テレビを点けるとどこでもそのニュースをやっているだろうし、何よりも駅で売られているスポーツ誌の一面を見ざるを得ない(もちろん、デイリースポーツ一面は読売を載せないだろうが)。

久貝さんとは約束した。お世話になったお礼も兼ね、黒島にトラッキーのぬいぐるみを送るから、是非民宿に飾ってほしいと。で、口コミで阪神ファンが集まる宿にしてもいいとOKを頂いた。

今回は本当に悲しい。プレーオフで勝ち進んでも、私にとっては意味なし、リーグ優勝しないと。何よりも読売に7連敗中で、仮にプレーオフで対決しても、今のトラでは勝てる訳ない。私の中では、リーグ優勝を逃した時点で今シーズンは終わった。さあ、もう今年はトラのユニフォームも洗濯して片付ける。こんな辛い気持ちは二度と経験したくないし、こんな心ここに在らずの旅も二度としたくない。

あほー、読売。


(長渕風に)「南来」にて

黒島のしま宿「南来」の方々、特にオーナーの久貝さんには本当にお世話になった。夜は毎晩酒盛り。宿が島酒を用意してくれる。私も宿で働いていたのでよくわかるのだが、夜遅くまで宴をすると翌日はかなり辛い。そのため、自分たちの体調を見て、夜飲むかどうかを決めていたのだが、ここでは毎晩。久貝さんも毎晩のように参加し、私がいた時はかなり遅くまで飲んでいたので、翌日は辛かったはず。しかし、翌夜も遅くまで参加。すごい体力である。ある晩は、島の人も参加し、久貝さんと共に島の裏情報を色々聞かせて頂いた。

ある晩、車で一緒にヤシガニを探しに行った。ヤシガニは夜行性で、暑い日の夜は道端によくいるらしい。我々が探しに行った時も、何匹か出てきた。但し、小さめのものだったので、最後はリリース。ちなみに、「うんどうや」のヤシガニそばのヤシガニはリリースするのと同じぐらいの小さめのものだった。

ある日の夕方、久貝さんが船で魚を釣りに行き、マグロ、グルクンなどかなりの魚をゲットして帰ってきた。そして、その場ですぐにさばき、ビールと共にマグロを刺身で頂いた。獲れたてのマグロの身はしっかりと絞まっており、コリコリしてうまい。グルクンは、その翌日の夕食に揚げものとなって出てきた。こちらもうまかった。

竹富島でも毎晩のように酒を飲んだが、私がいた宿では、基本的にはお客同士で飲む。宿のおばあが島酒を用意してくれる。ある晩は、お客さんと一緒に島の居酒屋で飲み、ある晩は、宿でお客さん同士で飲んだ。また、お客が少なかった日もあり、その夜は、おじい、おばあと一緒になって飲んだ。

見知らぬお客さん同士が偶然に一つの空間に集まり、そして酒と共にその空間と時間を過ごす。それはそれで非常に楽しいこと。ただ、その中に島の人がいるともっといい。一気に島の空気になり、そのペースで宴が進む。そこに、おじいやおばあがいると、もっとマイペースなおじい、おばあに我々が巻き込まれる形になり、他ではなかなか味わえない雰囲気を楽しめる。

東京に帰る前夜、石垣島で久貝さんと再び合流した。久貝さんも石垣に仕事でいらしてて、トラ敗北で傷心しきっていた私のために声をかけて下さった。その晩は、久貝さんの高校時代の同級生が集まるということで、まずは、ある方の家の庭で飲んだ。「観月会」、そう月を見ながら酒を交わす。見ず知らずの私の突然の参加にもかかわらず、皆様に温かく迎えて頂いた。途中からは三線が入る。弾くのは久貝さんで、久貝さんは三線が無茶苦茶うまいし、唄もうまい。同級生もそれを認めているような感じだった。

その後は、同じく同級生が経営するライブハウス。石垣島にもこういったところがあるのか、と驚いた。ここでも久貝さんとそこのオーナーとの三線とギターのコラボを聞かせて頂いたが、こういった三線もいい。島酒を交わしながら、しみじみと聞くのとは違うが、こういったライブ感覚の三線も新鮮だった。そこで、久貝さんに誘導され、お二人の伴奏に合わせて、私は「六甲おろし」を魂を込めて熱唱した。

最後は、別の同級生が経営する居酒屋へ。この時点で、深夜を過ぎていたと思う。ここでは、他の同級生の集まりに遭遇し一緒に飲んだ。ここでも突然の私の訪問を皆様に温かく迎えて頂いた。

結局、終わったのは朝3時ごろ。黒島に着てから、竹富島、そしてこの日の石垣島と、毎晩深夜まで飲んでいた。ほとんどつまみなしにひたすら島酒を飲み、翌朝は7時頃に起きるといった生活を続けていたので、最後の方は喉が痛くなり、少し熱っぽかった(トラの敗北も影響していたのかも・・・)。

旅の印象は、天気、宿、人でかなり左右される。このうち、天気だけはどうしようもないので、私は離島に渡る際は、最低そこに2泊はするようにしている。礼文にいた際、1泊で帰るお客さんがいる時に天気が悪い場合は、トーク等で何とか楽しませられないかと常に考えていた。今回の旅の間は、1日だけ雨だったがそれ以外は天気に恵まれた。

「南来」を選んだのは、地図を見て港から一番近いところにあったので、歩いて行けると思ったから。黒島ではキャンプが禁止なので、どこかの宿に泊まるしかない。島に渡る時間も何も決めていなかった私に対して、島に渡る前日、宿の奥さんが翌日はお祭りがあるから午前中来た方がいい、とわざわざ連絡を下さったほど親切だった。宿はきれいだったし、宿の人、島の人には大変お世話になり、この3要素すべてが完璧だった。プラス、久貝さんの数々のおもてなし。黒島のみならず石垣島でもお世話になった。本当にありがとうございました。

追伸: ここまで久貝さんと親しくなった要因として、久貝さんが野球好きなのもあるが、私が熱く語った我が阪神タイガースのおかげであろう。このことに気づいた私は、改めて「生涯阪神」を誓った。



黒島、西の浜


黒島、南見家


黒島の集落


パナリの道


しま宿「南来」


竹富島、コンドイビーチ


黒島、西の浜


石垣島、吹通橋より


「南来」のオーナー、久貝さん