4月27日

「さよならオークランドの仲間達」

ついにオークランドをでる日が来た。このフラットには40日ぐらいいたか。オーナーの笠原さんの経営方針には納得いかなかったが、フラットメイトとは仲良くいった。

始めのうちは真理子さん、Nigel、純さん、特に純さんとは2人で毎晩話してたが、しばらくすると邦弘君が加わり、尚史さん、Nigel、徳さん、理砂さん、徳さん夫妻とは短かったが、楽しかった。

それになんと言っても学校の仲間。ウォルターを始め、和さん、潤子さん、オージー、エバ、光二さん、こと恵、ゆみちゃん、ちか子さん。ほんと学校に行くのがこんなに楽しかったことはなかった。別れるのはつらいがきりがない。

皆さん、ほんとありがとう。楽しかった。また会いましょう。

オークランドを出る前に最後のイベントがある。そう、ウォルターや和さんとテニスをすることになっている。俺はフラットメイトに見送られて、純さんとMt. Edenのテニスコートへ向かった。

フラットメイトの皆さんほんとお世話になりました。俺がいなくなった後の学級委員をよろしくお願いします。

純さんと2人で慣れ親しんだMt. Eden Rd.を北上し、少し迷いながらView Rd.のテニスコートに着いた。すでにウォルター、和さん、光二さん、それに和さんの友達がいた。俺はテニスなんかしたことがない。しかし、やってみるとおもろいもんだ。俺と純さんは素人ながらなかなかのものだ。さすがはウォルター。かなりのもんだ。俺と純さんは少し練習して、それから試合をすることになった。俺と純さん組は和さん、ウォルター組とやったが、当然負けた。

しかし、楽しくゲームができた。結構、テニスはやってみるといいもんだ。

やがて出発の時が来て、ウォルターに

「手紙を書いてこいよ。」

と言われて、また8月に再会することを約束した。ほんとにみんないい奴だ。別れるのがつらい。Mt. Roskillに行ってほんとよかった。

和さんにBus Stopまで送ってもらい、和さんと純さんと別れて、Bus Stopのロビーをふと見ると、なんと潤子さんがいるでは。感激だ。どうやら見送りに来てくれたみたいだ。潤子さんは数日前にパスポートを失くして、今それどころやないのにわざわざ来てくれた。陽子ちゃんや真理子も俺が出る直前に電話くれて、ほんと皆さんには感謝の気持ちでいっぱいだ。

潤子さんは思いやりがあってほんといい人だ。俺がオークランドで知り合った日本人の仲で一番の親友だ。潤子さんとは9月にクライストチャーチで会おうと約束した。

ほんと皆さんありがとう。また会いましょう。

タウランガまでのバスの中、俺はずっと眠っていた。かなり疲れていた。

やがてオークランドを出て、約5時間後タウランガに着いた。着いたんはいいがここはどこって感じだ。とりあえず、俺はYHAに電話したが、予想通り満室だった。俺がどうしようか途方にくれていると、おせっかいにもバスの運ちゃんが勝手にバックパッカーに電話して、タクシーも来て、知らんうちにおれはタクシーに乗っていた。なんかわけわからんうちにことが運んでいて、しばらくしてバックパッカーの前で降ろされた。

俺は疲れていたせいかなげやりになっていた。はっきり言って汚いドミだ。日本人は俺以外に1人だけいた。受付のジャッキーはかなり早口のねえちゃんで、話していることがわからん。

どうやら最近天気が悪いのでピッキングは中止らしい。それと、どうもしばらく中止のようだ。

そんなあほな。それやったらオークランドでゆっくりしたらよかった。

4月28日

「ひまや」

ひまや。これからピッキングまで何しよう。ひまになってやることがないほどオークランドの日々が恋しくなる。フラットのみんなどうしてるやろ。潤子さんのパスポート、うまくいったかな。俺は無性にオークランドに帰りたくなった。

今日は朝から雨。俺はその雨の中をプラプラしてた。

ひまや。することがない。昼から近くのスーパーに買い物に行って、夕方ジャッキーにタウランガ市内に連れて行ってもらった。タウランガは思ったよりも都会だ。それにしてもすることがない。ひまや。

4月29日

「再び、「タイタニック」」

今日もひまや。しかし、ピッキングまで時間を潰さないと。よし、今日は映画に行こう。俺はジャッキーに映画館の場所を聞いてタウンへ向かった。

タウランガのタウンは思った以上に都会だ。しかし、オークランドに比べるとChineseやKoreanの数が圧倒的に少なく、マオリもやや少な目でほとんどが白人だ。俺は今日1日でタウランガのタウンを極めた。

映画を見る前にサンダルを買おう。礼文でお嬢様がおみやげに持ってきてくれたホーキンスのサンダルは両方とも穴があいてきた。よくここまでもったもんだ。オークランドでは毎日履いていたからな。Tree KingsからMt. Roskillまでの道のりを毎日歩いた。ほんとお疲れさん。俺はタウンのある雑貨屋で$6.00ぐらいのセッタを買った。

そして、今日は久しぶりに感動を味おうと思って、「タイタニック」を見ることにした。ちなみに料金は$6.50でオークランドよりはるかに安い。俺は少し時間を潰して映画館に入った。やっぱり、二度目だけあってこの前よりは内容がわかる。しかし、「タイタニック」はいつ見てもいい。絶対、日本に帰ってビデオを借りよう。

さあ、心も満たされて今晩のめしはtake awayだ。また、あのタッパーをもらわないと。フラットからもって来たらよかった。

タウランガはオークランドよりもかなり星がきれいで、今晩俺は生まれて初めてサザンクロスを見た。宿のねえちゃんに教えてもらってわかったんだが、これがサザンクロスか。結構、感動した。今度はもっときれいなところで見たる。俺はすっかりプラネタリウム少年だ。

4月30日

「Mt. Maunganui」

今日もひまなのを利用してMt. Maunganuiに行った。Mt. Maunganuiはここから海をはさんですぐ目の前なのだが、海をまわっていかないといけない。ジャッキーに聞いたら1時間ぐらいと言っていたがとんでもない。Mt. Maunganuiのタウンまで2時間はかかった。俺は山に登るまででくたくただ。

途中、バングラ人が俺に声をかけてきて、俺が去年ダッカやカンガエル、マイメイシンに行ったと言ったら、俺に抱きついてきた。やっぱり、バングラに行った人は少ないのか。おっちゃんはすっかり俺のことを気に入って色々聞いてくる。俺はそれどころやない。早く頂上まで行かねば。

今日はほんと天気がいい。昼からますます天気がよくなってきた。Mt. MaunganuiはMt. EdenやDevonportなんかと比べものにならんぐらい高い。結局、ふもとから頂上まで40分ぐらいかかった。しかし、頂上からの景色は絶景だ。Mt. Maunganuiの町が眼下に広がり、なんと言っても海岸線がきれいだ。90mile beachのようにずっと砂浜が続く。俺は思わず祈ってしまった。

町並みとは逆の方向には無人島らしき島がある。この島の真ん中には針葉樹が広がり、島のまわりは白い砂浜だ。海もエメラルド色。

確かに景色は最高。しかし、NZではヒマラヤのような感動がない。というのは、北海道にそっくりなのだ。ああ、初めてこの景色を見ていたら。海の色は礼文のスカイ岬やゴロタ岬からの方がきれいなような気がする。

俺はタウランガへの帰り道はヒッチハイクをしようと決めていた。もう、あの道を歩くのは疲れた。俺はMt. Maunganuiの町外れでヒッチハイクをしようとしていたら、30秒ぐらいで車がつかまった。トラックの運ちゃんでタウランガに向かう橋までならということで俺は乗せてもらった。なかなか陽気なおっちゃんで俺にピッキングのことについて色々教えてくれた。俺はおっちゃんにお礼を言ってタウランガのタウンへ向かった。

タウランガはほんとマオリもチャイニーズも少ない。Koreanなんて見かけへんぞ。俺は昨日見つけた安いスーパーで買い物して帰った。

タウンから宿までは東大正門からお茶の水の駅ぐらいまでか。オークランドで言うとThree KingsからBalmoral Rd.ぐらいか。とにかく歩くのがたるい。

俺は宿の連中とはかなり仲良くなった。特に、オンドレは俺のことを気に入ったみたいでいつも声をかけてくる。この宿にいるのはほとんどがイギリス人で、スコットランド、イングランド、ウェールズとEnglishが違うのだ。俺がわかりやすいなと思っていたイングランドのカップルは他に行ってしまった。オンドレはNZ人で、彼のEnglishはわからん。ジャッキーはアイリッシュだが、早口でわからん。アイリッシュ版宮川花子だ。

それにしても、ここの連中はマナーが悪すぎる。使ったコップは洗わんとほったらかしやし、フライパンもそのままやし。おい、油もんを使った奴はお湯で洗わんととれへんぞ。なんでいつも俺が片付け役やねん。俺は民宿が長いせいかこういうところまで目がいく。シャワーもそうだ。お前らの髪の毛が排水口を防いでるのがわからんのか。うちの部屋は6人部屋だが、ほんと周りのことを考えてへん。1人のスコットランド人は絶対わきがや。スプレーをわきにするのはいいが外でやってくれ。部屋の中がくさいやんけ。それに足がくさいやん。一瞬俺かと思ってかいでしまったやんけ。

とにかく、みんな周りをもっと見てくれ。いい加減腹立ってきた。

5月1日

「みんなどないなってんねん」

昨日の夜は急きょオンドレに誘われて何人かでタウンのパブに行った。それもPM11:30ぐらいからだ。全部で8人か。俺らはタクシーを呼んでタウンへ向かった。

さすがにタウランガは都会だけあってパブも何カ所かある。昨日は木曜日なのでそれほど混んでなかった。ビールが一杯$3.50。オークランドと同じくらいだ。

ここのバックパッカーの連中も俺の「学」という名前が難しすぎて言えない。しかし、珍しい名前みたいで俺の名前を意味もなく叫んで、俺に声をかけてくる。やっぱり、「まなぶ」は言えないみたいで、

「「まらぶ」でいいやろ。」

とか、

「「まりぶ」っていうのはどう。」

と言われたので、俺はなんでもええでって感じで答えた。

1、2時間ぐらいで帰ろうっていう話が、一軒目の店がAM1:00に終わって、二軒目に向かった。まあええかと思って、二軒目について行くとAM2:00二軒目も終わって三軒目に突入した。おいおい、わしは今日はもうええで。今日はそんなに飲みたくないし、店が変わるたびになんか飲まなあかんやんけ。

俺は、西洋人にとって音楽がないと生きていけないのがわかるような気がした。どこのパブでも音楽に合わせて踊っている。それに、うちの宿の連中もほとんどウォークマンを聞いている。俺も場に合わせて踊っていたが、とにかく昨日はMt. Maunganuiに登ったせいかかなり疲れていたので帰りたかった。

オンドレやイングランドのねえちゃん、カナダ、ドイツの野郎(全員の名前を忘れた)たちは特に俺のことを気に入ったみたいで、

「いっしょに踊ろう。」

とか、

「ヘイ、マラブ。乾杯!!」

とか、うるさい。

そのうちに、いつもはおとなしめのドイツのもじゃもじゃが酔い始めてはじけてくる。途中で、オンドレは、

「金をおろしてくる。」

と言って、bank machineに行って帰って来ないし、三軒目が終わって俺がオンドレを探しに行っていると路上でマオリの男と白人のねえちゃんがけんかしてて、俺が止めに入ったら俺が怒られるし。オンドレはいないので帰ろうっていう話になると、もじゃもじゃはいなくなって、俺がもじゃもじゃを探しに行って元の場所に戻るとみんなタクシーで帰ってるし。俺はきれかけ寸前だ。こいつらの神経はどうなってるんや。おかげで俺は一人夜道を歩いて帰って、宿に着いたらAM5:00やんけ。

それから、寝ようと思っていると朝っぱらからうるさいし。俺はオークランドのフラットに戻りたくなった。そう考えると、なんやかんや言っても日本人の礼儀はこいつらに比べたらはるかにいい。

結局、今日は昼までうとうとしてて、Pack

n saveに向かった。Packn saveはFood Townよりも安く、両方とも日本でいうダイエー、ヨーカドーってとこか。しかし、宿から片道1時間は歩いた。やっぱり、車を買うか?今日は少し調味料を買い込んだ。しょう油、コンソメ、black paper、ジンジャー、チリ。

こんなけあればええやろ。ずっと自炊をしていると色々味を変えたくなる・

帰りに米を買って、これでこれからの2,3ヶ月はばっちりだ。それにしても、いつまでピッキングを待たされるんやろう。

5月2日

「英語の必要性」

昨日はFriday night。おまけに、この宿の一人がbirthdayというのでタウンに飲みに行った。それにしても、この宿には何人いるんや。ドミにいるのが20人ぐらいで、テントが10人ぐらいか。毎日代わり代わり人は来るし。

Englishの勉強にはなるが、色んなEnglishが飛び交う。NZ、スコットランド、ウェールズ、イングランド、カナダ。スコティッシュが一番わからん。

タウランガのパブはなんでどこもうるさいんや。オークランドはまだ静かなところがあったが。

俺は、酒を飲む時は静かなところでゆっくり話しながら味わって飲むのが好きだ。だから、カラオケや踊りはいらん。せっかくの酒がまずくなる。今日のパブもうるさい。NZのパブになんか知らんが門番がいて、汚い格好やカジュアルな服では入れてくれない。なんでやろう。

2日連ちゃんやったのと疲れていたのが重なってて、正直俺は行きたくなかった。行けば飲んでしまうのはわかっている。この宿にいる泰司さんも今日はのり気じゃない。俺は泰司さんとなんとか逃げてきた。やっぱり、酒を飲む時はゆっくり飲みたい。

今日もピッキングはなし。しかし、このひまな時間を利用してEnglishの勉強ができる。せっかくウォルターの講義をうけたんやから。有効にしないと。

俺は「タイタニック」を見た時に40%ぐらいしかわからんかった。無性にむかついた。せっかく金を払って見た映画やのに内容がわからん。悔しすぎる。宿のみんなはEnglishを流暢に話せるのですぐに友達になる。俺もなんとかがんばるがnative Englishは速いし、スラングが入ってくるとわやだ。悔しい。悔しすぎる。

アジアを旅して感じた時と同じ心境だ。絶対、あいつらと流暢に話してやる。絶対、nativeと同じような間で話してやる。だから、これから3ヶ月仕事をしながらEnglishの勉強も続けてやる。

俺は金を稼いでオークランドに戻って、まじでもう一度学校に行こうかと考えている。

絶対、Englishで大阪のしゃべりの間でしゃべれるようになってやる。

5月3日

「NZでがんばってみるか」

昨日の昼にタウンで日本人らしき観光客を見かけた。オークランドならわかるが、タウランガで見るとは。そう言えば、日本ではゴールデンウィークだ。この時期、俺はこの2年間海外で過ごしている。昨年はカトマンズにいた。たま美さんとカトマンズで会えたのもゴールデンウィークで、たまたまたま美さんがカトマンズにいたからだ。それと、今日は羽田で大澤さんの結婚式だ。ほんとは悩んだ。結婚式に一時帰国して、そのまま礼文で銭稼いだ方が賢明かなと思ったが、ここにいると日本では出来ない経験ができる。ここでピッキングを待っていても、天候に左右される仕事であまり金にはならん。それよりか、礼文に戻った方が仕事はしんどいが、ある程度金は期待できる。正直、俺は一度日本に帰って、またNZに戻って来ようかと思ってた。しかし、今日は考えを改めた。やっぱり、NZに残ろう。

そう思い立ったら、いかにして銭を稼ぐか。それと、いかにして出費を防ぐか。そのことを今検討中だ。

昨日の晩は、またクリス(カナダ人)に誘われて夜中から飲みに行った。昨日はさすがに自分で自分をほめた。有森裕子の心境だ。この心境は今年2度目。ちなみに、1度目は、2/28〜3/1の巡回で東青梅のDSの店長になんとか仕事をさせてもらうようにした時。

こんな夜中を女の子1人でも町を歩けるなんて、NZは治安がいい。日本よりええんちゃうか。

昨日の夜は、俺は2軒目の途中でこっそり帰った。

今日はみんなとサッカーをした。さすがにイギリス人が多いだけにみんなサッカー好きだ。俺は靴を持ってないのでキーパーをした。先週はオークランドでソフトボール、今日はサッカー。なかなかいい運動になる。

今晩、こっちに来て始めてラーメンを作った。やっぱり、ラーメンはうまい。泰司さんにも少しあげて喜んでいた。最近、自炊するのが楽しくなってきた。そうなると俺の性格上こってきて、みりんや酒、みそもほしくなってきた。昆布もかつおもだ。ああ、料理の本をもって来たらよかった。

 

5月4日

「礼文に戻りたい」

しまった。悪いことをしてしまった。昨日、ここに来たばかりのguy(名前は忘れたがブルース・ウィルスそっくり)とビリヤードをやって、今日もやろうと約束していたのだが、そのguyが今朝オークランドに向けて旅立った。彼は俺を探しまくってたみたい。すまん、ブルース・ウィルス。申し訳ない。

今日もひまだ。俺はひまな時間を利用して、タウンのコピー屋へ向かった。E-Mailをだすためだ。色々交渉してみるとなんと$2.50で使わせてくれることになった。ラッキー。俺はアクセスポイントをオークランドからハミルトンに代えた。よし、これでタウランガからでもいける。宿からやと落ち着いてでけへん。

NZのコンピューターの需要はまだまだだ。電気屋に行ってもちょこっとコンピューターがあるだけで値段もかなり高い。パワーブックも見あたらない。

それにしても、最近むしょうに礼文に戻りたい。日本に帰りたいわけではない。礼文に戻りたい。友達に会いたいわけでもない。礼文に戻りたい。なんやろこの心境は。また大将といっしょに「はまなす」をやっていきたい。今ならまだ間に合うが…。

5月5日

「なんじゃこの映画」

昨日はまいった。昨日の昼に「バックトゥ・ザ・フューチャー」のドクに似た奴とその連れがここに来たのだが、俺はどうもこの2人が嫌いだ。案の定、夜に酒を飲みまくって、酔っぱらって、歌を歌い出して、あげくのはてに深夜1時頃カーステレオをガンガンにかけまくってた。おまけに、ドクは同じ部屋で強烈ないびきだ。今朝、こいつらの話でもちきりだ。早くここから出ていってくれへんかな。

今日もひまだ。一体、いつからピッキングが始まるんや。いつから始まるとわかればそれまでどっかへ行くのだが。いつからかわからんからここにおらなしゃあない。

こういう時間が俺は一番きらいだ。それにここ数日天気がいい。ああくやしい!

今日は火曜日。映画が安い日だ。俺は「JACKAL」という映画を見るつもりやったが、何をまちがえたか、受付の兄ちゃんは俺に「GATTACA」の半券を渡しやがった。俺は知らぬ間にNo.5の部屋へ。

なんじゃ、この映画は。うぁ、$6.50を返してくれ。一体、どないなってんねん。

ほんと毎日することがない。もう今日でここに来て9日目だ。とにかく、ピッキングが始まるまで根気よく待とう。

5月6日

「ビーチバレー」

ここに来て10日目だ。今週末にはピッキングが始まるようだ。ほんまかな?

朝、洗濯をして、昼からみんなでbeachに行った。久しぶりのバレーボールだ。それにしてもMt. Maungauniのbeachはいつ見てもきれいだ。山の上から見てもきれいだが、beachに降り立つともっときれいだ。この白い砂浜にネットを張ってビーチバレーの開始だ。おいおい、みんなルールを知ってんのか。なんで1回で返すんや。みんなにトスをあげてる俺があほやんけ。しかし、砂浜でのバレーってこんなに難しいとは。なんせ足がとられる。ビーチバレーの選手はすごい体力だ。改めてそう思った。

この宿にはドイツ人が何人かいるが、その中でも俺はルーシーと仲がいい。ルーシーは雰囲気が直ちゃん(妹)そっくりで、他人とは思えない。何気ないしぐさがほんと似てる。ちなみに、身長は俺ぐらいある。ルーシーはサーブが結構うまく、うまいと言ってもむちゃくちゃうまいわけではないがミスがない。しかし、レシーブは全くだめだ。

久しぶりのバレーは気持ちがいい。北大の3、4年の時はよく体育館を借りてやったものだ。今日はいい運動になった。

それにしても、ひまや。ひまや〜。

 

 

5月7日

「やっぱり、米は日本だ」

昨日の夜から雨が降りだした。今日は1日中降り続いている。おかげで今日1日むだに過ごした。lazy dayだ。みんなも時間をもてあましてた。

昼ごろに、ドミニクがビデオを借りに行くと言って俺も¢50かんぱしたが、借りてきたのがサスペンス。また内容が難しい。今の俺には理解でけへん。

このひまな時間を利用して、俺は毎日ウォルターの授業の復習をしている。俺の周りには英語の先生だらけで、みんな丁寧に教えてくれる。なかなかgoodな環境だ。

今日、オンドレがここを旅立った。俺が一番仲良かった奴だけに、すげえ残念だ。しかし、オンドレはしばらく北島にいるみたいやし、実家もウェリントンの近くだからまた会えるやろう。それに、彼はE-mailのアドレスをもってるし。

今晩、イングランドの女の子2人(名前はまた忘れた)に米の炊き方を教えてあげた。同じイングランドのマイクは湯の中に米を入れて、そのまま煮て、最後はざるにあげるのが普通やと言ってた。ちなみに、イングランドではパンよりも米の方が人気みたいだ。

どうも彼女たちには米の炊き方は難しいようだ。そりゃそうやろ。まず洗うってことをしないし、なべのふたを開けないってこともしないし、蒸らすってこともしない。俺が教えてできた米のでき具合はまずまずやったが、彼女たちには少しwetだそうだ。やっぱり、文化の違いというものは難しい。

ちなみに、ルーシーに聞いたところ、ドイツでは米やパンよりもジャガイモが主流とか。

「あなたは米の方が好きでしょう。」

って聞いてきたところを見ると、ドイツでも日本は米の国と認識されているようだ。

今晩、なんか知らんけどドクがまた遊びに来た。お前らもうここに来るな。結構みんな迷惑してるんや。

5月8日

「ピッキング初日」

ついに、ピツキングの日が来た。昨日から降っていた雨も今朝方止んで、昼からついに仕事が…。

初ピッキングはMt. Maunganuiにある果樹園だ。俺らは、ドミニク、ダニエラ、マイケルの車とバングラ人のブローカーの車に分かれて向かった。

俺が果樹園に着いてびびったのはなんと棚になっている。ぶどう棚ならぬキュウイフルーツ棚だ。てっきり、俺はキュウイというのはりんごのように木が1本づつあるのかなと思っていた。

さあ、早速仕事開始だ。腹に袋をかかえて、その袋にもいだキュウイを入れていく。キュウイは簡単に取れ、見た目は楽そうなのだが、routine workなだけにたるい。それに、袋にキュウイが貯まってくると肩にずっしりとくる。しかし、今日は昼からなので楽だ。

途中、何度か休憩して、午後5時ぐらいになって終了。思ったよりもしんどかった。

結局、13人で44ビン。1ビンが1×1.52×0.6m3ぐらいの箱で、これに満たんキュウイをつめ、1ビンで$11.00。

つまり、今日は44×11=$484を13人でわるから、1人$37ぐらいか。しかし、ここから税金を20%もっていかれる。そんなせっしょうな。まあ、精神的な疲れはないからこんなもんかも。

今日はFriday。そう、Friday nightが待っている。当然、みんなで飲みに行くことに。俺はこっちのパブはどうも嫌いだ。なんしかうるさい。しかし、ビールが飲める。なんでこっちの人はビールを飲みながら踊るんや。心臓に悪いぞ。

俺は明日も仕事があることやし、ジョッキ2杯だけ飲んでいつものように$2.00の屋台のホットドッグを食って帰った。みんなほどほどにしとけよ。明日しんどいぞ。

5月9日

「彼らが見た日本」

今日は朝からピッキングだ。昨日の疲れは全くなく、少し眠いが体調は万全。今日も昨日と同じ果樹園での仕事になる。早速、俺らは向かった。

さすがに、ピッキングは1日やるとコツがわかる。今日は最初から飛ばしきみに取りまくった。少し肌寒いぐらいでgood weatherだ。

それにしても、ここのおやじはやたらと話かけまくる。おばちゃんもそうでやかましい。周りではワン公がうろついているし、ちびっ子がうろうろしている。

俺は途中で腹立ってきた。みんなもくもくとやってる中、ここの人だけが騒々しい。

やがて、午前が終わって午後になると、さすがにみんな疲れてきたのか表情が険しくなってきた。ダニーなんて死にそうな顔をしている。確かに、かなり肩がこってくる。しかし、俺はみんなの疲れた顔を見ているとなぜか元気になってくる。泰司さんはベテランでもくもくとやっている。こりゃ、俺も負けてられん。

しかし、俺も終わり間際になると肩がかなりこってきた。今日は10人で82ビン。1人$80ぐらいか。

今日、ここにはドミニクの車でダニー、ジェイソン、スチュー、マイク、俺の5人で来たが、なんと帰りに車が故障した。全くどないなってんねん。

それにしても、仕事の後のめしはうまい。それと、甘い物がほしくなるのはかなりのエネルギーを使っている証拠か。ああ、やっぱり米や。う〜ん、うまい。

今晩、俺がいつものようにEnglishの勉強をしていると、イングランドから来ているナディアが色々俺に教えてくれた。ナディアの両親はイタリア人で、彼女はイングランドでTV番組を作っていた。なかなかきれいな人だ。俺はナディアの名前をカタカナで書いてやるとびびってた。なんじゃこの字はって感じの顔だ。昨日のアンディや、スチューもそうだが、日本にはひらがな、カタカナ、漢字があって、それぞれを使いわけるとナディアに教えると

「Oh, my God!!」

と叫んでた。アンディは

「日本人って cleaverだな。」

って感心してた。ちなみに、アルファベットは26文字、日本では五十音っていうのがあると言うと目を回してた。ほんと文化の違いというのはおもしろいもんだ。

ナディアは細かいことまで教えてくれた。彼女は明日ここをでていく。短い期間だったがありがとう、ナディア。またどこかで会おう。

5月10日

「Feijoas」

みんな薄情だ。今日は昨日の仕事が少し残っていて、働いたとしても2時間ぐらいやからみんな断りやがった。しかし、4人必要。しゃあないな、俺か。

昨日の夜から雨が降り今朝方やんだが、また降る気配。結局、俺、ルーシー、タニヤ、ダニエラが行くことになった。

雨のせいで上から雨がもってくる。それに、少し休むと寒い。早く終わろうぜ。

仕事を開始して2時間ぐらいか。4人とオーナーとで11.5ビン。1人$20ぐらいか。仕事の後はオーナーが俺らにビールを御馳走してくれた。それに、寒いからと言ってスープもくれた。ええ人やん。おまけに、feijoasを袋いっぱいくれた。

Feijoasとは緑色の楕円形の果物で、味的には少し甘酸っぱくて日本にはない。これがまたうまい。食い頃のやつは勝ってに木から落ちている。だから、それを拾うだけでいい。バングラのジャックフルーツ以来のうまさで、俺はすっかり気に入った。絶対、日本でも売れる。

さすがに半日とはいえ、3日間は疲れた。そのため、宿に帰ると俺はうとうとしてた。これが毎日続くと結構しんどいかも。

5月11日

「再び、有森裕子の気分」

今日は仕事が休み。仕事がない時はあれほどしたかったのに、仕事をし出すと休みがほしくなる。ほんと人間ってわがままな生き物だ。

今日は昼からタウンに行って、 E-mailを出して、その後はカフェでカプチーノを飲みながらAir Mailを書いていた。なんて優雅な時間だ。宿の連中も暇潰しに何人かタウンに来てて、俺が手紙を書いていると声をかけてきた。ほんとみんなとはすっかりお友達だ。

夕方、少し買い物をして宿に戻った。それにしても、この宿の連中はだらしない。自分で使った食器はすぐ自分で洗え。次に使う人がいるんやぞ。それに、なんでゴミがいっぱいのゴミ箱にさらに入れるねん。もう入れへんやろ。なんで俺がいつもその後片づけをせなあかんねん。みんないい奴なのはいい奴なのだが…。こういうところはあかん。俺は民宿が長いので、この後のジャッキーの気持ちを考えると…。ああ、なんて俺はえらいんや。自分で自分をほめなやってられん。再び、有森裕子の気分だ。

5月 12日

「素直に喜べない」

今日はええ天気だった。今朝は8時にピッキングスタート。肌寒い中ピッキングは始まったが、ちょうどいい気候だ。詳しいことはわからんが、この前の仕事の時にいたおっちゃんの家の近くの果樹園が今日の仕事場だ。

このおっちゃんはほんまにええおっちゃんだ。確か名前がドンだったような。休憩時間にはコーヒーや紅茶、夕方にはおばちゃんがマフィン作ってくれた。このおっちゃんと俺はすっかり仲良しで、おっちゃんも「マラブ」と俺のことを呼ぶ。おっちゃんはラグビーが好きで、6月 27日のオールブラックスの試合を見にわざわざオークランドまで行くみたいだ。

さすがに、朝早くから仕事をしただけに午後3時でキュウイをすべてもぎとった。なんと94ビンもあった。今日は10人。$90はもらえる。俺はこれで仕事が終わりかなと思ってたが、もう一軒違う果樹園に行って、結局午後5時ぐらいまでか。約20ビンぐらい取って今日の仕事は終了。今日だけで$100はもらえる。う〜ん、good。

しかし、俺は素直に喜べない。というのは、今日仕事できたのは10人だけだ。他の連中はできない。仕事には順番があって、今日は10人だけ必要と言われた。俺はたまたま早くからここで仕事を待っていたので9番目ぐらいに仕事がまわってくる。俺も待たされた身だから他の連中の気持ちはわかる。しかし、金がほしいのは事実だ。う〜ん、複雑な心境だ。こんなことを考えるのは日本人だけかな。仕事をしている他の連中はどう思ったんねやろ。みんなで仕事がしたい。その方が素直に喜べる。

今晩、feijoasでジャムを作った。少しsugarを入れすぎたがまずまずだ。ほんとは水飴がほしかったが、俺はfeijoasを煮て水分を飛ばし、残った成分の中のペクチンやデンプンで水飴状になるんじゃないかと考え、2時間ぐらい煮込んだら案の定ペースト状になった。なかなかみんなに好評で、ルーシーやタニヤ、ジャッキー、ダニーも喜んでた。

あっ、そうそう。今日ダニエラが実はオランダ人であることを知った。俺はてっきりイングランド人と思ってた。

5月13日

「エキセントリック」

今日は昼から雨が降ってきたので、午後2時ぐらいに仕事は終わった。さすがに、2日連続の朝8時スタートは疲れた。それに、今日は蒸し暑かったし。

俺はつたない英語で結構みんなを笑かしているが、やっぱり外人は体をはった芸の方が喜ぶ。まだまだしゃべくりはあかん。何気ないベタな俺のもちネタだ。日本ではつかみでしかないのに、みんな爆笑してる。わからんもんだ。

今日、仕事中にダニーに、

「マナブってエキセントリックね。」と言われた。

それにしても、ルーシーやタニヤの英語力には脱帽だ。彼女たちは高校をでたばかりなのに。ヨハンにしてもそうだ。ドイツではどんな英語教育をしてるんや。ダニエラもすごい。ああ、俺の英語はまだまだだ。

5月 14日

「なかなかのチームワーク」

今朝は快晴。昨日の雨が嘘のようだ。今日は朝9時からの仕事。うれしことにみんな仕事ができる。俺らはいつも10人のpartyだが、他の連中は違うところでのピッキングだ。

それにしても、ほんとこっちの人は親切でat homeだ。昨日、今日と仕事をした果樹園のオーナーもほんといい人だった。

午前中で一軒目は終わった。さすがの俺も体が痛い。しかし、そんなことは言ってられない。昼から果樹園は棚になっていなかったので、ピッキングはかなりつらかった。

要するに、木がアーチ状になっていて下の方は取りにくい。俺らは二手に分かれて、俺らのグループは、泰司さん、ダニー、デヴィ、ルーシー、俺で、もう一方はドミニク、マーティン、ルイス、タニヤ、ダニエラで、俺とルーシーは背が高いので上を、他の3人は下を取ることにした。なかなかのチームワークだ。

結局、今日は100ビンぐらいか。まずまずってとこか。

今晩、ピーターとアンディがほんとの兄弟であることを知った。アンディはいつもピーターのことをbrotherと呼んでいたので尋ねてみたところほんとの兄弟だった。言われてみたら似てるかも。ドミニク、マーティン兄弟に次いで兄弟でこの宿にいるのは2組だ。

5月 15日

「初給料」

NZに来てもう2ヶ月か。タウランガに来てもう20日ぐらい経つ。今ではすっかりこのバックパッカーの一員で、ジャッキーをはじめみんなとすっかり仲間になった。

今日も昨日と同じ果樹園での仕事。今朝はまじで寒かった。東京での寝袋生活を思い出す。寒くなると朝起きるのがつらい。

今日も快晴。さすがに日中は暑い。それと、みんなかなり疲れがたまっているんやろう。かなり動きが鈍い。

今日は午後4時半で終了。その後ドンから給料をもらった。火〜木曜までの分で3日間で$210。当然、20%税金が引かれている。ほんまこの税金は高すぎる。ちなみに、先週分はまだみたいだ。

東京での仕事を考えるとむちゃくちゃ安い賃金だが、やっぱり一生懸命働いた後にもらう金はいいもんだ。俺はこの金のうちジャッキーに2週間分の宿代を払ったので、ほとんど手元には残らんかった。まぁ、またがんばろう。とにかく、俺はかなり疲れている。この日記を書くのもつらい。

5月16日

「仕事がでけへんなら飲むな」

今朝はまいった。昨日はFriday night。この宿の何人かはパブに行ったが、俺はソファーに寝ころんでいるうちに寝てしまって、結局タウンへは行かなかった。今日は予定通り仕事があるのでみんなそのことはわかっているはずやのに。ドミニクとマーティン、ルイスは朝4時頃まで飲んでて、そのおかげで今朝は仕事に行くのが遅れた。ドミニクとマーティンが二日酔いで起きられない。ルイスは19才ながらしっかりしてて、ちゃんと起きてきた。しかし、俺らは彼らのおかげで朝8時出発の予定が出発できなくなった。というのは、俺らのグループは10人だからだ。

全く頭にくる。俺が心配していたのは果樹園のオーナーのジョンに遅れることを伝えたかどうかってことだ。ダニーにそのことを聞いてみたら、問題ないと言う。おいおい、そんな問題やないやろ。西洋人のこの辺の感覚は俺はどうも好きになれん。

朝9時半頃、デヴィがしびれをきらして、俺、デヴィ、ダニー、泰司さんで仕事に向かったが、なんと途中コーヒーを飲んで行こうってことに。おいおい、それなら意味ないやろ。ええ加減腹立ってきた。

結局、10時すぎに果樹園に着いたが、案の定ジョンが1人で仕事を始めていた。俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。しばらくして、ダニエラとルーシーも来たが、どうやら、ドミニク、マーティン、ルイスは来ないみたいだ。ジョンは昨日がFridayって知ってのことか、俺らのことを何とも思ってないかのように仕事をしている。ああ、ほんと申し訳ない。

やっと昼すぎにジョンの果樹園が終了。さすがに、T-Barは疲れた。pergolaに比べれば仕事量が少ないにもかかわらず体力は消耗する。

俺はピッキングをしながら、これは肥料をあげなこんなけ育たんやろうと思って、ジョンに聞いてみたら、ジョンのところでは堆きゅう肥を与えてるみたいだ。というのは、肥料を買う金がもったいないから自分ところで肥料を作っているらしい。それと、今年はキュウイの値段が30%もダウンするとか。なんでやろ?

それから、少しドンの家で休憩して、夕方違う果樹園へ向かった。久しぶりのpergolaだ。

おお、やりやすい。午前中は30ビンしかとれなかったのに、ここでは2時間で24ビンもとれた。やっぱりちゃうで。

今晩、俺は昨日の給料で買ったビールを飲もうと思っていたら、なんとビールの箱がないでは。うそ〜。どうやら昨日酔っぱらってマーティンが飲んだみたいだ。おいおい、それやったら言ってくれ。この前は米を勝手に使われたし。これは許されへんな。でも、ここで怒ったら雰囲気悪くなるし。くそ〜。がまんするか。ドミニクがすまなさそうにビールを買ってきてくれたし。ああ、こういうところはむかつく。

5月17日

「ドン家でのパーティ」

今日は最高の日だった。仕事が終わった後、ドン家のパーティーに俺らは招待された。なんとローストラムだ。奥さんが俺らのために仕込んでくれた。う〜ん、うまい。腹が減ってただけに、むちゃくちゃうまい。俺らは正直言ってかなり疲れがたまっている。特に、女性陣はかなりだ。今日なんかデヴィやダニエラは死にそうな顔をしていた。その疲れきった体にこの料理。うまい。これはなんかお礼をしないと。今度時間があったら日本料理でも作ってあげよう。

それにしても、この辺りの家に比べると日本の家はうさぎ小屋だ。ほんと広く、各家庭には必ず庭があって、そこには必ずテーブルやいすがあり、コーヒーを飲んだり、うたたねしたりできる。ドンの家もかなりのものだ。

俺らの仕事の休憩時間には、果樹園によってはコーヒー、紅茶、ケーキをだしてくれる。今日のところはケーキをだしてくれて、俺は久しぶりにブラウニーを食った。ブラウニーと言えば、マリーさんだ。俺は甘いものはあまり食えないが、なぜかブラウニーは食える。

ローストラムで腹が満たされた後は、なんとデザートだ。ケーキにフルーツポンチ。食い切れん。これは奥さん大変やったろう。やっぱり、疲れているために甘い物がうまい。ほんとドン家に感謝だ。

今までの疲れが吹っ飛んだ。よし、明日からまたがんばるぞ。

ドンの家の周りは一面が果樹園。だから夜は真っ暗で星がきれいだ。

5月18日

「キュウイピッキングはつらい仕事」

今日は朝8時半から仕事。俺は昨日の夜にみっちりストレッチをしたせいか今日は体調がいい。しかし、湿度が高く、天候はbadだ。

昨日同様今日も休憩時間に果樹園のオーナーは紅茶、コーヒー、スコーンをだしてくれた。やっぱり、水よりも全然いい。それにしても、今日は蒸し暑かった。

結局、4時半すぎに今日の果樹園は終了。101ビン。ドンに聞いたところ1ビンがだいたいキュウイ300sで約2500個。調子がいい時は10人で仕事して、2時間で30ビン取れるので、これを1人当たりで考えると、2時間で、2500×30/10=7500個。袋がいっぱいになってトラクターに入れに行く時間も含んでいるが、1秒当たりで考えると7500/2×3600≒1個。1秒間に1個を1日中遠々と取り続けることになる。そう考えると簡単なように思えるが、なんせ色んな要素を含んでいるのでそういうわけにはいかん。とにかく、キュウイフルーツピッキングはつらい仕事だ。

5月19日

「T-Barは嫌いだ」

今日はほんまに疲れた。午前中はT-Bar。それもup downがあってrowが長い。今日はダニーが疲れたと言ってoffをとりやがった。T-Barで1人抜けるとつらい。おい、わがまま娘。みんなもしんどいんや。T-Barの真ん中はほんまにつらいんや。他の人はsideを取っていくので、当然取り残すのもある。俺は真ん中でその処理だ。ほんまにつらかった。

昼からはpergolaだ。またこれも長いrowだ。先が見えへんのはつらい。午前中のT-Barのおかげでみんなくたくただ。それに、今日は休憩がなかった。

結局、仕事終了は午後4時。Total 72ビン。こんなけとれれば上等だ。確かに、Orchardからの景色は最高。でも、2度とここには来たくない。

5月20日

「疲れた、疲れた、疲れた…」

疲れた。今日はとにかく疲れた。朝からT-Bar。午後3時半頃雨が降って終了。このピッキングの中で一番つかれた日だ。金はほしいが休みたい。休みをくれ。朝から雨降ってくれ。疲れた、疲れた、疲れた…。

5月 21日

「お疲れ様、ルーシー」

やっぱり、人間は睡眠が必要だ。昨日はあまりのしんどさに10時には寝た。のどがだんだん痛くなってきて、まじでやばい状態やった。しかし、昨日よく寝たおかげで今朝はだいぶ回復した。でも、6時間以上寝たので腰が痛い。やっぱり、床ずれした。

今朝は昨日の雨のおかげで仕事は昼からになった。午前中ゆっくりできたのは大きい。結構、助かった。

その時間を利用して俺はタウンにE-mailを見に行った。長い間見てなかったので、なんと12通も来てた。俺がこの前みんなに何か送ってくれって書いたら、みんな何か送ってやると言ってきた。ほんまありがたい。楽しみに待ってます。

さあ、昨日の続きのT-Barだ。どうもすっきりしない天気。天気がすっきりしない日は気持ちが乗らない。しかし、今朝の休みのおかげで体調は回復。それにしても、T-Barはいやや。

今日は残念なことがあった。今日でルーシーが最後だ。俺はこのバックパッカーの中でほんとルーシーとは仲がよかった。年はまだ20歳ぐらいだが、ルーシーはいつも

「マリブ、マリブ。」

と言ってよく話かけてきた。彼女は明日ここをでる。ほんと寂しい。ルーシーとはドイツでまた会おうと約束した。

PM5:15、仕事終了。今日は66ビンぐらいか。T-Barにしてはまずまずか。仕事の後はお待ちかねの給料。この1週間で$530。これは手取りで、税金で$130も取られる。ほんまに頭に来る。

$530と言っても日本円にすると4万円ぐらいだが、それ以上の価値だ。礼文では4日、東京では3日で稼げる額だ。しかし、それらとはまた違った趣がある。日本で稼いだ金とはまた違う。これはやった人しかわからんやろう。とにかく、うれしい。仕事しててよかったとほんとそう思う一瞬だ。

1つのorchardが終わると、ドンはいつもみんなにビールをくれる。ドンはラグビー好きのしゃべりだが、ほんといい奴だ。俺ら10人とドン、ドンの家族とはすっかり仲良くなった。そういった中でルーシーがいなくなるのはつらい。明日からルーシーの代わりにジェイソンが加わる。俺はジェイソンとも仲がいい。とにかく、お疲れ様、ルーシー。また会おう。

5月22日

「キュウイピッキングデータ」

朝から雨が降りそうだ。天気予報では昼から雨。そのため、今朝は8時から仕事だった。

実際にやり始めたのは8時半。午前中はpergola(棚)。やっぱり、楽だ。

今日は仕事をしながら少し計算してみた。Bagをいっぱいにするためには、110〜130個のキュウイを取らなければならない。それと、大体3binをいっぱいにするのに1人7〜8bag必要。つまり、average 7.5 bagとして、1 bag

120個とすると、俺らは10人やから、

total pieces=120×7.5×10=9000個

で、1bin当たりは、

9000/3 = 3000個

になる。ドンが言ってた数字とは少し違う。

さらに深く考えてみる。今日は昼からT-Barになったが、仕事時間はAM8:30〜PM4:30、休憩を2時間として、労働時間は6時間で94bin。orchardをすべてpergolaと考えて、大体1時間に16binとして、1時間当たり、

3000×16=48,000個

のキュウイを取ることになり、1人当たり4,800個。Bag当たりにすると、

4800/120=40bag。

それと、1bag貯まってトラクターに入れに行く時間を30秒として、歩いている時間が、

30×40=1200sec=20min。

実質労働時間は40min/hrとなり、1sec当たりの個数にすると、

4800/40×60=2個

になる。

以上をまとめると、

data:

average 120 pieces/bag

average 7.5 bags/3bins/person

average 16 bins/hr

calculation:

Total pieces/bin= 120×7.5×10/3=3,000

Total pieces/hr/person=3000×16/10=4800

Total bag/hr/person=4800/120=40

Picking pieces/second/person=4800/2400=2

これがT-Barになると2/3ぐらいになる。

ついでやから、これを金に計算してみよう。

16 bin/hr、1日実質6hr労働として、1日当たりのtotal binは、

16×6=96 bin

で、$11/binとして、1人当たりの1日の給料は、

96×11/10=105.6 

で、このうちGSTが20.7%やから、手取りは、

105. 6×0.793≒$84。

これをキュウイ1個当たりにすると、

84/4800×6=$2.9×10-3/piece=¢0.29/piece

つまり、¢29/100 piecesとなる。

以上もまとめてみると、

   

data:

average 16×6=96 bin/day=9.6 bin/day/person

$11/bin

GST 20.7%

calculation:

$/kiwi fruit=9.6×11×(100-20.7)/100=2.9×10-3

¢/100 pieces kiwi fruit=29

キュウイを100個取って、やっと¢29だ。ちなみに、

1 bag=29×1.2=34.8≒¢35。

安いもんだ。

俺がドンのグループでよかったと思うのは、たまに休憩の時にコーヒー、紅茶、ミロ、今日なんかマフィンをだしてくれた。奥さんが作ってくれたんやろう。これがまたうまい。生き返った気分だ。

ほんとドンや奥さんには感謝だ。明日はday off。11日ぶりだ。それも、ドンがラグビーの試合を見たいからだ。なんていい加減なボス。今晩は飲みに行こう。

5月 23日

「たまの休日はいいもんだ」

昨日の晩は久々にタウンに飲みに行った。次の日が休みとわかっていれば気持ちの面でも違う。

NZのパブは入るのに汚い格好ではあかんが、昨日のあるパブはひどかった。アンディとランスの黒いジーンズでさえ入れなかった。なんで黒はあかんねん。ひどいんちゃうか。あかん理由を言え。

西洋人はパブに行く時はある程度家で酒を飲んでからパブに行く。パブで飲んだらいいやんと思うが、どうやらそうするのが当たり前のようだ。昨晩はFriday nightだけあってみんなパブに行く前からかなりできあがっていた。特に、ダニーとデヴィはすごかった。ダニーは、

「マナブ、ダンス、ダンス。」

と言ってうるさいし、デヴィは抱きついてくるし。ほんまに酔った女はたちが悪い。

今日はせっかくの休日なのに朝から嵐だ。すごい。まさしく台風だ。かわいそうにクリスのテントはこの風でつぶれた。

この休みの日に俺がしたいことと言えば、そう洗濯だ。情けない。主婦のようだ。しかし、朝からこの嵐。それに、みんなも洗濯もんがたまってる。俺は外を見ながらボーッとしてるうちにまた寝てしまった。

やがて、昼すぎに起きると外はすっかりいい天気。これでやっと洗濯ができる。早速、俺は洗濯をして、タウンに買い物に行った。長い間買い物に行ってなかったので、食い物がなくなってきた。今日はいつも行くproduceで白菜を見つけた。俺は迷わず買って、ゆでてしょう油をかけて食った。やっぱり、白菜だ。うまい。とりあえず、残りは塩漬けにして漬け物を作ってみよう。

それにしても、たまの休日はいいもんだ。さあ、明日からまた仕事。がんばらなければ。

5月24日

「戦力分析」

今日は最悪だ。昨日の雨のために仕事開始が11時からとなったが、なんと30分もせんうちに雨が降ってきて中止になった。全くどないなってんねん。こんなんやったらドミニクやルイスみたいに休んだらよかった。車のガス代だけでももったいない。おかげで、昼から Pack

n saveに行けたが。

仕事を始めてもう2週間になるが、俺らのグループの10人のだいたいの力量が把握できた。ルーシーが抜けて、ジェイソンが入ったから11人か。俺も我ながら取るのは速いと思うが、泰司さんには負ける。それ以上なのがマーティンだ。マーティンはばけ者だ。まさしく、ピッキングをするために生まれてきたようなものだ。

ここで、俺独自のみんなの力量の判断を数値化してみよう。Factorとしてピッキングの速さと持久力を用い、マーティンを10(5+5)(速さ+スタミナ)としてみる。

1,マーティン 10.00 (5.00+5.00)

2,泰司さん  9.75 (4.75+5.00)

3,俺     9.50 (4.50+5.00)

ドミニク  9.50 (4.50+5.00)

5,デヴィ   9.25 (4.50+4.75)

6,ジェイソン 9.00 (4.25+4.75)

7,ルイス 8.50 (4.50+4.00)

ダニー   8.50 (4.50+4.00)

9,ルーシー  8.25 (4.00+4.25)

10,タニヤ 8.00 (4.50+3.50)

11,ダニエラ  7.25 (3.75+3.50)

こんなとこかな。タニヤはさぼりすぎ。ダニエラにはきつすぎか。ルイスはスタミナがなく、女にしてはデヴィはすごい。

今晩、俺は無性に卵焼きが食いたくなった。正確に言えば、昨日の晩からだ。早速、宿に戻って作ったが、やっぱり卵焼きだ。悔しいのはマヨネーズがない。こっちのマヨネーズはまずくて食えん。それと、だしがほしい。鰹でも、昆布でもええ。だしがほしい。

5月 25日

「organic orchard」

今朝は8時から仕事。みんなの嫌いなT-Barだ。しかし、orchardの人が手伝ってくれたせいか昼までにここは終了。Total 62 bin。T-Barにしてはまずまずだ。

昼からはorganic orchardでの仕事。手袋もバックも新しいものと換えたが、ドンの悪いところは靴のことも注意せんと。みんなの靴の裏には他のorchardの土がついているやろ。これこそがコンタミの原因やで。

organic orchardのキュウイは1まわり小さい。だから、バックに詰めるには少し多めに取らなあかん。やはり、肥料によって果実にかなり影響を与えるんか。詳しくは聞いてないが、compostを買っているためかなりのcostがかかっているみたいだ。おそらく、chemicalもあげていないと思うが、それにしては葉は虫に食われていない。少し熟しているのを食ったりもしたが、味自体は普通のとそれほど変わらん。少し色々聞いてみたい。

俺ら10人はほんとプロ並だ。自分で言うのもなんだが、俺らはかなりレベルが高い。他のグループに聞いてみたら、仕事が遅すぎて怒られたこともあるみたいだ。

俺らの場合、pergolaならたまにトラクターが間に合わん。なんせチームワークがよく、だいたい3列を3人でキュウイを取っていくのだが、当然3列すべてが同じようなスピードではいかない。ギャップ(枝と枝のさけ目)があるところではその分速いし、女の子が多い列ではどうしても遅い。その遅れをfollowするのが、マーティン、ドミニク、俺だ。俺ら3人がうまいこと気を配って、同じようなスピードで仕事を流れるようにする。取り残しをfollowするのも俺ら3人。ほんとチームワークがいい。

5月26日

「お疲れ様、デヴィ」

今朝は雨。雨なら中止なのだが、午前中にあがったら昼から仕事になる。だから、昼までは待機せなあかん。この時間がもったいなさすぎる。何もでけへん。結局、今日は仕事なし。最近ほんと雨が多く、まともに朝から仕事してへん。一体、どないなってんねん。

昼からタウンに行ってE-mailを出して写真を取りに行った。俺はネパールに行った時に三脚があればなと思って、新宿のヨドバシカメラで安いやつを購入したのだが、これがまた使える。Easter holidayでBay of Islandに行った時も、始めはみんな三脚に唖然としてたが、しだいに三脚の良さを感じてきて、現像して見せた時は何枚も注文してきた。Pot luck partyの時もそうだった。

ピッキングの合間にも俺は写真を撮ってた。同じように、始めはみんな三脚に唖然としていたが、やはり写真を見るとみんなほしいと言いだした。やっぱり、三脚は使える。買ってよかった。

写真をこうやって撮り始めたのも、植野のおかげだ。北大の作栄時代に、4月の始めから植野は何かあるたびに写真を撮っていた。正直、俺は、何やってんやって感じで植野のことを見てたが、後になるにつれてこれがいい。すごくいい思い出が記録として残るようになった。それ以来、俺も何かのたびにカメラを持ち歩くようになった。

今晩、デヴィから、

「マナブ、私は明日ここを出るから、写真送って。」

と言われた。うそ〜。デヴィは俺が特に仲良かった仲間の1人で、よくEnglishを教えてくれた。ショックだ。彼女はハワイに寄って来月イングランドに帰る。今週末にはダニエラ、アンディもここを出る。寂しい。最後に残るのはたぶん俺だけだ。別れはいつ味わってもつらい。特に、礼文でシーズンオフになるといつも寂しかった。彼らとはいつでも会えるというわけにはいかない。はるかかなたヨーロッパだ。デヴィは、

「マナブに会えてよかった。イングランドに来ることがあったらE-mailちょうだい。」

と言ってくれた。まあ、生きてる限りみんなには会えると言えば会える。デヴィ、とにかく、お疲れ様。また会おう。

5月 27日

「俺らのチーム」

今朝も雨。むかつく。仕事がしてえ。ここ最近ほんまに仕事をしてへん。しかし、昼まで待たなあかん。あーあ、時間がもったいない。

昼すぎ、デヴィがここを去って行った。俺が一番仲良かった仲間の1人だけに寂しい。デヴィは、

「マナブ、私は時々メールをチックするからね。ちゃんとマナブの英語をチェックしてあげるから。」

と言って、ここを後にした。ルーシーに続いてデヴィもだ。今週末にはダニエラ、来週始めにタニヤ、来週末にはダニーと俺のピッキング仲間が出て行く。ほんと去っていく者よりも後に残される者の方がつらい。去っていった者は帰りたくなれば帰れる。しかし、残された者はどうしようもない。ほんと別れはいつ味わってもつらい。

昼すぎに、ドンから電話があってこれから仕事とのこと。おいおい、今からかい。ドンは俺ら以外にも何人かほしいと言ってきて、俺ら以外にマイク、スチュー、ランス、孝君、カリーが加わった。やっぱり、チームワークがいいのは俺らだ。お互いをfollowし合う。気の知れた仲間だ。

結局、5時半ぐらいになって、周りが真っ暗になって終了。60 binぐらいか。やっぱり、仕事ができるのはいい。みんな仕事を嫌がるのはなんでだ。確かに、仕事はきついが、俺らは仕事をしにここに来た。嫌やったら出ていけばいい。お前らも、仕事しにここに来たんやろ。銭を稼ぐというのはそんなにたやすいもんやないやろ。

今日、新たな事実が発覚した。なんとこの宿にいてキュウイのパッキングをしているパトリッシアがドミとマーティンの妹だった。びっくりだ。ドミニク、マーティン、パトリッシアと二兄弟、一妹が同じ宿にいる。ちなみに、彼らにはスコットランドにもう一人弟がいるみたいだ。

果たして、2週間後には何人の仲間がここに残るんや。来週の始めにはプリスカも出ていく。ほんと寂しいぜ、セニョール。

5月28日

「お疲れ様、アンディ」

今日は朝から快晴。絶好のピッキング日和だ。今朝はまじで寒く、息が白かった。もう冬だ。

今朝は8時から昨日のorchardの残りを開始。1時間もかからんうちにこのorchardは終了。その後はこの前のorganic orchardだ。デヴィがいなくなった上にタニアが故障で8人しかいないのでいつもよりはペースが遅い。それでも、5時半までで60binぐらい取ったか。まぁ、まずまずだ。

今日でダニエラが終わり。俺が特に仲良かった仲間がどんどん消えていく。明日はアンディがここを後にする。寂しい。

今晩、なんとタウンのあるパブで入場料$3.00、ビール飲み放題というところがあった。俺らはアンディの送別会もかねて何人かで飲みに行った。アンディと一緒に飲んで踊るのもこれが最後か。

俺はこっちに来て一段と酒が強くなったかも。ジョッキで何杯飲んでも全く変わらんでは。全くどないなってんねん。内蔵が悪いんちゃうか。

アンディは俺によくEnglishを教えてくれた。彼とはEnglandか日本で会おうと約束した。アンディ、ほんと短い間でしたがありがとう。ピッキングお疲れ様。それと、ほんと毎晩Englishを教えてくれてありがとう。あなたは本当に気持ちのやさしい人ですね。君に会えてほんとよかったです。また会おう。

5月 29日

「おいおい、笑い事やないで」

今朝、アンディがここを出ていった。今朝はどんより曇っている。今日は昨日の続きのorganic orchardだ。

昨日ドンが言っていたように、朝のラジオのスポーツクイズになんとドンが出演しているでは。ドンはほんとスポーツ好きだ。特に、ラグビーに関してはすごい。何問かは間違ったみたいだが、来週の火曜日にもまた出られるらしい。がんばれ、ドン。

ダニエラが昨日で終わりで車がなくなるので、俺らはどうなんねやろうと思っていたら、今朝なんとわざわざダニエラが送ってくれた。ダニエラはほんとやさしい子だ。ありがとう、ダニエラ。

最近、朝露がひどくて10時ぐらいまではキュウイが濡れている。それに、息もかなり白い。もうすっかり冬だ。

俺はどうもorganic orchardは好きになれん。キュウイが小さくて取りにくいのと、ストークがついてくるのが厄介だ。確かに、chemical fertilizerを使っているorchardに比べれば、印象としてはいい。しかし、ここのorchardは雑草がひどい。これはcompostのかなりのlossだ。味的にもあまり変わらんような。俺は元々organicとかほざいてる連中が嫌いなので少しひいき目になってるかも。

昼からは、ルイスが抜けてとうとう6人に。元々、10人いたのに…。というのは、昨晩ルイスはタウンの通りで立ちションをしていて警察に捕まった。たかが立ちションだ。そして、今日の昼から裁判所に行かないといけない。たかが立ちションで…。みんな大笑い。おいおい、笑いごとやないで。ルイスは19歳やで。やばいやろ。

6人になるとほんと寂しい。女の子はダニー1人だけになった。各列に、いつも3人はいたのに、今は2人だ。でも、今日は6人で63ビン。まずまずだ。俺らのピッキングも来週までとか。もう1ヶ月仕事がしてえ。

5月 30日

「T-Barで105bin」

今日はこの宿に泊まっているメンツで4人加わった。どうも今日、明日だけみたいだ。今日のorchardはT-Bar。ガ〜ン。早速、この4人のお手並み拝見ってとこだが、遅すぎる。午前中はドミがいなかったので俺、泰司さん、マーティン、ルイス、ダニーの古株が同じ列で、他の4人とジェイソンが違う列だった。それにしても、遅い。こりゃジェイソンがかわいそうだ。なんかチンタラやりながら、何bin取ったとか、銭のことばかり気にしてる。おい、銭は後からついてくるもんや。仕事中にそんな話すな。

T-Barの時、俺はいつも真ん中やったが、今日はsideをやった。真ん中はルイスだ。俺はルイスだけは真ん中やったらあかんと思っていた。彼には悪いが彼は使えん。もし、礼文の「はまなす」で働いていたら、俺や大将は速攻くびにするやろ。案の定、全くだめだ。取り残しはあるし、チンタラしてる。俺はあえて何も言わんかった。

昼前からドミが加わって、今日はtotalで105 bin。たいしたもんだ。T-Barでこれだけ取れればすごい。ドンもびっくりしてた。

昼から、ドンはいなくなり、おそらくラグビーの試合を見に帰ったんやろ。今日はSuper 12 のfinal。場所によっては昼から仕事が中止のところもあった。ほんまにええ加減なボスだ。

今晩、宿に戻るとルーシーがいた。コロマンデルから帰って来たみたいだ。相変わらず元気そうだ。ルーシーも、

「マリブ、マリブ。」

といつもの調子だ。明日はダニエラがここを後にする。

5月31日

「銭に執着してる奴」

昨日Super 12 のfinalがあって、Auckland bluesが負けた。絶対勝つと思ったのに残念だ。

今日は晴れたり、曇ったりの繰り返しだった。ほんまにNZの天気はわからん。なにしろ雲の流れが速い。気分的にも落ち着かん。

今日は、昨日のメンバーに仕事が休みのマイクが加わっての仕事だ。1時間ぐらいで昨日のT-Barの残りを仕上げて、その後は他のorchardに行った。他のメンバーが仕事が休みやからと言って、俺らに加わるのは別にいいが、そうすると残り少ない俺らの仕事量はどうなるんやろ。当然、人数が増える程仕事も早く終わる。彼らは自分達の仕事がある時はそっちに行くが、休み返上で仕事をしたいみたいだ。銭がほしいのはわかる。しかし、仕事中に銭の話はするな。気が散る。口を動かすんやったら手を動かせ。

昼間、ドンに言われて俺らの集合写真を撮った。どうやら、来年の営業に使うみたいだ。どうせなら前のメンバーのデヴィ、ダニエラ、ルーシーを入れて撮りたかった。今日のメンバーも人としてはいい人なんだが、俺はどうも好きになれん。銭に執着している奴はどうも好かん。なにか大事なものを忘れているような気がする。

         銭はよう 銭はよう そりゃほしいけれど

         何ボ積んでも 何ボ積んでも

         譲れねえものがある

〜「親知らず」長渕剛〜

結局、今日は100 bin弱か。それにしても、どうも体の調子がよくない。鼻水が止まらんし、なんかしんどい。ここ2、3日ずっとこんな感じだ。こりゃ、やばいかな。朝晩かなり冷えるし、仕事の疲れもたまっているのか、まだのどが痛くないのが幸いだ。

6月1日

「またもやドン家でのパーティ」

今日は雲一つない快晴。なんと今日も昨日のメンバーが加わる。というのは、今日はQueen's birthday。Public holidayで仕事は休みみたいで、彼らは昨晩ドンにまたお願いしたらしい、おいおい、お前らは仕事がないんやろ。それやったら休め。みんなそうしてるやろ。俺は仕事がなくなるんやないかとここ2、3日心配していた。というのは、今週でpickingは終わりとドンに言われていた。人数が少なければその分時間もかかる。しかし、人数が多くなると早くしごとが終わる。残り少ないorchardを少人数でゆっくりすれば俺らも長く仕事ができる。でも、ドンが数日だけでも彼らを受け入れたのは早くpickingを終わらせたかったからやろう。熟してきたキュウイがかなり見られるので時期的にもう遅いのだ。

それと、今日だけ新たにロンドンギャル2人が加わった。年にして20歳前後で、いかにもロンドンって感じのお嬢様だ。これは使えんなと思っていたらほんまに使えん。お嬢ちゃん達はブラブラ町でもうろついてなさい。

午前中にT-Barを終わらせ、昼からpergolaを済ませ、夕方ドンの家で軽くコーヒーを飲んで、それから違うorchardで20 binぐらい取った。Totalで90 binぐらいか。そして、仕事の後はなんとドンがfish & chipsを用意してくれ、俺らを家に招待してくれた。またや。ほんとドンfamilyには世話になりっぱなしだ。なんとお礼を言ったらいいのか。ドンfamilyでほんとよかった。

それと、この時俺は生まれて始めて、バグパイプを生で聞いた。ドンの友達が吹いてくれた。感動だ。バグパイプと言えばスコットランド。しかし、ドミやマーティンはでけへんらしい。

俺の予感は的中して、明日でpickingは終わり。ここ最近人が多くなった分仕事が早く終わる。正直、俺はかなり怒っている。たぶん、俺らの他のメンバーも同じ気持ちやろ。余計な人がきたから…。お前だけが銭ほしいんちゃうんやぞ。みんな同じなんや。お前らは元のボスのところに戻って明日から働けるが、俺らはどうなんねん。お前らのおかげでドミ、マーティン、ルイス、ダニー、タニヤ、ジェイソン、俺、泰司さんはどないなんねん。みんな今週いっぱい仕事をするつもりやったのに。

俺は突然のpicking finishでとまどっている。今週いっぱいでここをでるか、pruningをするか。ドンはpruningをするんやったら教えてやると言ってくれた。KatikatiやKerikeriに行って、オレンジのpickingをやってもいいし、旅を始めてもいい。困った。いったんオークランドに帰ってもええな。

6月2日

「kiwi packing」

今日の天気予報は雨。その通り午前9時すぎから雨が降ってきた。

今朝はドンがでているスポーツクイズがあったので、8時半すぎにドンがむかえに来てくれた。ドンはなんと勝ち抜いているみたいで明日もラジオ出演するそうだ。

Orchardに着いて仕事はすぐに中止となった。しかし、うれしことにもう2、3日仕事ができるみたいだ。

中止が決まった後、ドンは俺らをpacking工場へ連れて行ってくれた。Packingは俺が思っていた通り、ベルトコンベアを使って、機械的な作業だ。俺らが取ったキュウイが入ったbinをコンベアに流す。まず第一段階として、キュウイを傷の有無でselectionする。というのは、輸出用のキュウイは形がよくないといけないし、表面に傷がついていてもだめだ。形のいいのはすべて輸出用で、こんなに大量のキュウイが輸出されるなんて、キュウイ産業はNZの産業の中でかなりのweightを占めているやろう。

俺は傷物のキュウイの行方が気になって、おそらくNZの市場に出回っているのではと思って、昼間、スーパーをのぞいてみたら、案の定スーパーには傷物だらけだ。ウォルターが言っていた。

「NZには小さなキュウイしかないが、キュウイの広告はでかいキュウイなのはなぜだ。おそらく輸出用に形のいいのを使うのだろう。」

まさしくウォルターの言った通りだ。

次に、selectionされたキュウイを形で分ける。やはり、でかいキュウイは値段も違うんやろ。

最終的に、2度selectionを受けたキュウイが箱に詰められて輸出される。おもろいことに箱の中には日本語で書かれた箱がこの工場の3分の1ぐらいあった。日本はいいお得意様なんやろ。

“ビタミンC、β―カロチン、食物繊維”

と書いてある。当然、この工場で働いている人はこの文字が読めない。どうやら「Zespri」というメーカーがorganizeしているみたいだ。

この工場の一連の流れを見ていると、確かに肉体的にはpickingの方がつらいと思うが、packingはたるい。俺が川崎で株主総会の封筒を作っていたのと同じで、俺はpackingはしたくない。まだpickingの方がましだ。

宿に帰る前にドンがチケットセンターに俺を連れて行ってくれて、オールブラックスのチケットが取れた。もう残りわずかだっただけにうれしい。これで念願の夢がかなう。うれしい。その前に「haka」を覚えないと。

6月 3日

「ドンに申しわけないやろ」

昨日の晩また雨が降ったため、午前中は待機。さあ、朝7時45分からはお待ちかねのドンのラジオだ。ドンは勝ち抜き続けていて、俺らはここ2、3日毎日楽しみにしている。しかし、残念なことに今日ドンは負けてしまった。残念だ。

午前中にかなり天気が回復して、今日は午後からの仕事となった。その前にタニヤと昨日ロトルアから帰ってきたルーシーがここを去っていった。デヴィ、ダニエラに次いでタニヤ、ルーシーと俺らの仲間が旅立っていった。2人共ほんとピッキングお疲れ様。また会おう。

さあ、仕事に行こうかと思っていると、なんと今日もジェイミー、リン、カリー、それと彼らのグループのタウランガ在中のニノが来た。おいおい、頼むから俺らの仕事を取るな。お前らにはちゃんと違うボスがいるやろ。お前らが休みやからといって、俺らに加わるな。俺はニノに詳しく聞いてみたら、どうも彼らのボスのことが嫌いみたいで、ドンfamilyに加わりたいようだ。もうすぐでピッキングも終わりやろ。それぐらいがんばれ。お前らは自分のことしか考えてへんやろ。ほんまにむかつく。彼ら自体はいい人なんだが、こういうところは許せん。

午後12時半ピッキングスタート。Pergolaだ。それにしても、最近の朝晩の冷え込みが激しいせいか、かなり熟したキュウイがある。これは早く取らんとやばい。商品にならんで。

結局、今日は午後4時半で終了。というのは、かなり冷え込んできたのと、今晩ジャッキーのはからいでバーベキューがあるのとで、みんな終わりたいと言いだした。お前らドンに申し訳ないやろ。それに取れる時に取らんとキュウイが商品にならんやろ。明日雨が降って、2、3日延びたら、また熟したのが増えるぞ。全くどないなってんねん。

今晩、ジャッキーがバーベキューを企画してくれた。ジャッキーのいきなはからいだ。ジャッキー、肉とかソーセージとかを用意してくれたんはうれしいが味がないやん。たれがいるやん。それに、みんな片付けんかい。ほんまどないなってんねん。

それにしても、朝晩はかなり寒い。たぶん5℃を切ってるやろ。日本でいう今はもう12月だ。

6月 4日

「どうも体調がよくない」

今朝はむちゃくちゃ寒かった。orchard一面霜だ。そのため、仕事開始時間の8時が9時半となった。もうすっかり冬だ。

俺はこの2、3日どうも体調がよくない。体がだるい。疲れやろか。そのため、いつもの調子がでない。これはあかんで。

午前中に昨日のorchardを終えて、午後からは違うorchardへ行った。ほんとに熟したキュウイが目立つ。早く取らんとあかんで。今日はtotalで100binぐらいか。まあ、まずまずだ。それと、木曜日なので給料日。今週は$400。まあまあか。

仕事を終えて宿に戻って、今晩みんなと飲みに行こうと言っていたので俺はその時間までうとうとしていたらそのまま寝てしまった。今日はマーティンのbirthdayでいっしょにパブに行こうと約束していたのに。申し訳ない。

 

6月5日

「マイクとのプールマッチ」

昨晩、何人かはタウンに飲みに行った。飲みに行くんはいい。ただし、次の日仕事がでけへんなら行くな。お前らもっと自分の行動に責任もて。俺らは団体で行動してるんやぞ。それと、遅れるんやったらもっとすまなさそうにしろ。みんな待ってる時になんで流暢にめしが食えんねん。おまけにその後歯をみがくな、ダニー。お前や。他の連中もそうだ。今日は時間通り用意してたんは、俺と泰司さんだけやんけ。それも、5人欠席で7人。ドンに申し訳ないやろ。それと、ついでやから言っとくが、朝時間がない時にマクドとかに寄るな。とにかく、ドンをはじめスタッフが俺らを待っているんや。俺らが来んと仕事が成り立たんのはわかってるや。この辺の感覚はどうなってんねん。やっぱり、俺は日本人だ。嫌な奴が多いがまだ日本人の方がましだ。もっとまわりを見ろ。

今朝、ミッシェルがここを旅立った。彼は間違いなくボンボンだ。フランス領ドミニカ諸島マーティニック島。えらいところから来たもんだ。彼はほんま背がでかい。199pある。まさしくカリブの曙だ。そのため、彼がベッドで寝返りを打つと部屋が揺れた。ミッシェルが一番仲良かったんは、俺と孝君だ。俺はとにかく珍しもん好きなんで、ミッシェルとはすぐに仲良くなった。部屋も同じで、とにかくよく話かけられたりした。ミッシェル、また会おう。

結局、今日は朝10時半頃スタート。total7人で60 binぐらいか。まあ、まずまずだ。それにしても、朝夕の冷え込みは激しく、午後4時ぐらいからは仕事をしながらでもかなり寒かった。俺は仕事は長くしたいが、早くキュウイを取ってピッキングを終わらせたい。というのは、せっかく取ったキュウイが商品にならんのは嫌だ。かと言って朝早くからはもうできない。霜がひどくキュウイも湿ってる。うーん、とにかく早くピッキングを終わらせたい。

今晩、世紀のプールマッチ、そうマイクとのビリヤード決戦の日だ。もう一ヶ月も前からずっと言っていた。俺はこの宿にいるforeignerの中で一番マイクと仲がいい。マイクはビリヤードの達人で、むちゃくちゃうまい。そんなマイクに俺は挑んだ。それも、2杯のギネスを賭けてだ。負けるのはわかっているが、こうやった方がみんな楽しめるやろ。案の定、周りにいた連中は楽しんでくれた。

マイクのブレークでゲームが始まり、当然のごとく俺は負けた。それも速攻だ。よし、マイク。ギネスをおごってやる。マイクとは明日飲みに行くことにした。正直、俺は今日はしたくなかった。どうもここ最近体調がよくない。そのため、気持ちも乗らない。なんやろ。疲れかな?

6月6日

「再び、戦力分析」

今日はダニーが欠席、ニノがサッカーの審判のため休みで、10人での仕事だ。始めの頃のメンバーとすっかり様変わりした。そこで、新メンバーの戦力分析をしてみよう。この前と同じでマーティンを10(速さ5+持久力5)とする。

1,マーティン 10.00 (5.00+5.00)

2,泰司さん  9.75 (4.75+5.00)

3,俺     9.50 (4.50+5.00)

ドミニク  9.50 (4.50+5.00)

ニノ    9.50 (4.50+5.00)

6,リン    9.00 (4.50+4.50)

7,ジェイソン 9.00 (4.25+4.75)

8,ルイス   8.50 (4.50+4.00)

ダニー   8.50 (4.50+4.00)

10,ジェイミー 8.25 (4.25+4.00)

11,カリー   7.50 (3.75+3.75)

12,マンディ  7.00 (3.50+3.50)

大体、こんなもんか。

今日はtotalで96 bin。まあ、まずまずか。それにしても、夕方はかなり冷える。仕事をしながらでも息が白い。

今晩、マイクとの約束とクリスとも約束していたのでパブに飲みに行った。本当は疲れていて行きたくなかったがしゃあない。俺は約束通りマイクにおごってやった。俺らは最初にクリスが働いていたパブにいつも行くんだが、クリスは今週で終わり。来週ここを出る。このパブには、クリスと同じ仲間で、ブロンドヘアーですらっとしたねえちゃんがいつもカウンターにいるのだが、このねえちゃんはほんまにきれい。モデルみたいだ。クリスはメロメロらしい。確かに、このねえちゃんは俺がNZで知り合ったねえちゃんの中で1番と言っていいぐらい美人だ。しかし、俺はどうもforeignerはだめだ。彼女たちの性格や生活スタイルがわかっているためどうも好きになれん。そう考えると、どうしょうもない奴が多いが日本人の方がいいか。やっぱり、俺は日本人だ。最近つくづくそう感じる。

6月7日

「何考えてんねん、お前ら」

今日は朝から雨。よって仕事は休み。昼までは待たなければいけないが今日はだめだ。こんなけ1日中降り続いたら明日もやばいかも。

今日はまじでここの連中に憤りを感じた。昨日15人ぐらいでタウンに飲みに行ったのだが、俺は今日の仕事のために朝3時頃帰った。何人かはそのまま残ったんだが、朝っぱら、確か7時ぐらいか。彼らが帰ってき来て、酔っぱらったルイスやヨハンが部屋に入ってきて、

「今からパーティーをするぞ。」  

と叫んできた。何考えてんねん、こいつらは。俺はあきれて物が言えん。

それと、昨日の晩何人かで何かを食ったんやろがキッチンがちらかっていた。だいたいいつもみんな洗わん。洗うのはいつも俺だ。今日は絶対そのままにしといたろうと思って昼すぎまでほっておくと、それでも誰も洗わん。洗ったのはまた俺やんけ。おい、使った奴はわかっているやろ。お前らは子供か。あとの奴が困ってるやろ。大体、見当はついている。こういうところは俺は絶対許せない。あまりにもここの連中はマナーが悪すぎる。お前らはどんな教育を受けてきてん。オークランドのバックパッカーや、DargavilleのYHAの連中こんなんじゃなかった。ここにいたデヴィやダニエラもちゃんとしてた。こういうモラルのない奴は誰かわかっているが、あまりにも多すぎる。俺はどうもこいつらが好きになれん。今はいっしょに生活しているがこういう奴等とは2度と会いたくない。

昼頃、ランスがここを出ていった。ランスのグループは昨日で仕事がfinish。ランスはNZ人で、それにオークランドの近くに住んでいるので、俺がオークランドに戻ったら時間があれば会おうと話をした。お疲れ様、ランス。

6月8日

「ハミルトンはもういいや」

昨日からの雨が今日も降り続いている。予想通り今日も仕事なし。そのため、今日はタウンにE-mailを見に行こうかなと思っていると、2、3日前からここに泊まっているスイス人のエイドリアンがハミルトンに行くと言うので、俺、泰司さん、孝君が便乗した。

エイドリアンはなかなかの好青年で、ブルース・ウィルスに似ている男前だ。雨が止み始めた頃に俺らはハミルトンへ向かった。

ハミルトンは思っていた通り都会だ。そのため、かなりの日本人に会った。俺は海外では日本人に会いたくない。日本人とは嫌でも日本で会う。途中で、E-mailを見にある店に行ったがやはり割高だ。まあ都会やからしゃないか。

エイドリアンの用事が終わるまで俺らは別々に行動したが、ハミルトンはもういい。見どころがない。都会はオークランドで十分だ。まあ、時間があればまた来ようって感じだ。いい暇潰しができたかなってとこか。

今晩、宿に戻るとクリスの友達がバカルディのラムとスミノフのウォッカを持ってやって来た。まあ、メジャーどこのラムとウォッカだ。俺は久しぶりにウォッカとラムを飲んだが、やはりラムはロンリコで、ウォッカはウォルフシュミットだ。しかし、NZではなかなか見あたらん。久しぶりのラムやウォッカはいい。俺はかなり飲んだが、酒がかなり強くなっている。やばいで。

6月9日

「いかさまマッサージ師」

今日も朝から雨。これで3日連続だ。どないなってんねん。梅雨みたいやんけ。3日も続くと嫌になる。一体、どうなってんねん。

今朝はみんなでサッカーをした。さすがに、イングランドやスコットランドはサッカー国だけあってみんなうまい。今日でサッカーをやったのは3回目だが、彼らは時間があればサッカーをしたがる。俺らが子供の頃から道端で野球をやったように、彼らはサッカーなんやろ。明後日のワールドカップの初戦ブラジルvsスコットランドが楽しみだ。みんなで見よう。

俺は今日の昼めしのために昨日チャーハンを作ってタッパーに入れておいていたのが、その半分がなくなっているじゃありませんか。それも、律儀に上をきれいにそろえてある。誰やわしのチャーハンを食ったんは。律儀に米の上をそろえるな。

昼すぎ、スチュワートがここを出ていった。スチューとは今月末にオークランドで会おうと約束した。スチューはほんとみんなをよく笑かしてた。スチュー、ピッキングお疲れ様。また会おう。

それから、少し昼寝してタウンに買い物に行って、今晩パッキンググループが持って帰ったキュウイでジャムを作った。Feijoas以来のジャム作りだ。今回は糖分ひかえ目で、キュウイそのものの味をうまく出せた。うん、まずまずだ。

俺は3週間ぐらい前にジャッキーに言われてジャッキーの足をマッサージしてあげたのだが、それがよかったみたいで、俺のマッサージの評判がみんなに広まって、

「Japanese massageはgood。」

ってな具合になって、いつの間にか俺がマッサージ師になってしまった。いかさまマッサージ師だ。この前はダニー、マイク、つい先日はクラール、そして昨日はプリスカにマッサージしてあげた。単にこってるところを探してあげてるだけやのに、みんなから、     

「どれくらいマッサージを勉強していたの?すごいよ。」

といつも言われるようになった。だから、俺は、

「数ヶ月学校に通って勉強したんや。」

って答えるようにしている。どうしよう。まあ、このままマッサージ師で通そう。やはり東洋医学はすごいな。

6月10日

「mandarin picking」

今日も朝から曇り空。どうやら雨は降らんみたいだ。

今朝、ドンから電話があり、久しぶりの仕事ができる。しかし、キュウイじゃなくてマンドリン、いわゆる日本でいう「みかん」だ。キュウイはまだwetであかんようで、ドンの庭のマンドリンpickingになった。俺の予想では、はさみを使って1個づつ取っていくんとちゃうかなと思っていたらその通りだ。これがかなりlazyだ。たるい。これはみかん農家の苦労がわかる。みかんがついてる枝も同じようにpruningし、まあ少し間引きをしていくんやろ。枝を切りすぎるとよくないし、切らないのもあかん。要するに、たるい。キュウイと同様ストークを残したらあかん。おまけに、今日は蒸し暑い。それと、今朝から鼻水が止まらず涙がでてくる。ほんまに最悪な条件だ。木本の枝切りは北大の4年の時のサンプリングで嫌というぐらいやった。なんしかroutineでたるい。これにつきる。

結局、午後5時ぐらいまでやった。明日もこれならいやや。

今日はかなりの人がここを後にした。パッキング組の4人とピーター。明日はクリス、カリン、プリスカとここを後にする。だんだんと寂しくなるな。

今朝、日本から新聞の切り抜きが届いた。ここ最近の阪神を中心とした情報が手に入った。まあ、相変わらずってとこか。あの国はいつまでもあのままや。ほんともう帰りたくもない。しかし、礼文には戻りたい。

6月11日

「golden kiwi」

ついにワールドカップが始まった。その開幕戦がスコットランドvsブラジル。

そう、スコットランドと言えば、ドミ、マーティン、ジェイミーがいる。それに、サッカー王国イギリス。イングランド、スコットランド、ウェールズから来てる連中がほとんど。試合はNZ時間の午前3時半。俺はみんなとテレビを見る約束をしていたが、次の日も仕事あるし、まあ、見られたら見ようと思っていると律儀にもドミとヨハンが朝2時半に、

「Manabu、come on!!」

と起こしてくれた。ありがとう、起こさんでよかったのに。

俺がびっくりしたんは、イギリス人全員起きてきた。さすがは、イギリス。みんなテレビにくぎづけ。これを見てるだけでもおもろい。PKでスコットランドがゴールを決めた時はびびった。みんなも大喜びだ。しかし、盛り上がったのは、この時だけ。ブラジルの一方的な展開だ。結局、スコットランドの自殺点で1−2でブラジルに負けた。でも、みんなと試合を見られただけでもええ。こんなことめったにないからな。

今朝は久しぶりにキュウイのピッキング。1時間ぐらいで軽く、T-Barを済ませ、その後は最後のorchardへ向かった。今日、アメリカ人のデヴィが加わった。なんか知らんが、デヴィと俺はすぐに仲良くなった。この旅始まって以来のアメリカ人だ。

ピッキングを始めて1ヶ月が過ぎるが、今日初めてgraftingを見た。台木にはgreen kiwi、言わゆるふつうのキュウイで、それにgolden kiwiをgraftingしてある。ドンは、

「このキュウイは取るな。」

とみんなに言ったので、俺はdwarfかなと思って後でドンに聞いてみたら別の品種だった。

Golden kiwiは中が黄色で値段で言うとふつうの5倍はする高級もので、そのほとんどが日本に輸出されている。ほんまかいな。俺は今まで日本で見たことがない。形もふつうのと違って先が尖っていて、なんと言っても毛がなくつるつるだ。それと、ドンが教えてくれたのは、キュウイを早く食いたければ傷をつければいいらしい。傷がsignalとなって老化が促進されるのか。エチレン合成かな。今日は色々勉強になった。

今日はカリン、プリスカ、クリス、ジェイソン、エイドリアンがここをあとにした。ジェイソンとは同じチームだっただけに寂しいぜ。ジェイソンはまじでナイスガイで、彼の目覚ましはいつも6時から鳴り始めて、それから4分おきになる。ちなみに、この4分おきというのは、一度ヨハンが計ったらしい。俺らはこれでいつも起こされていた。ジェイソンの英語はほんまに独特で、俺には分かりづらかった。でも、よく英語を教えてくれた。それと、彼もビリヤードの達人で、マイクといつもやってた。とにかく、また会おう、ジェイソン。

多分、最後にここに残るのは俺だけ。間違いない。

6月12日

「ピッキング最終日」

さあ、ピッキングfinal day。5月8日にstartした俺のピッキングも今日でfinish。ドミ、マーティン、ルイス、俺、泰司さん、デヴィ(イングランド)、ダニエラ、タニヤ、ルーシー、ダニーでstartした俺らのグループは、ドミ、マーティン、ルイス、俺、泰司さん、ダニー、マイク、マンディ、ジェイミー、リン、カリー、ニノ、デヴィ(USA)、孝君で幕を閉じる。メンバーが半分変わった。さあ、がんばるか。

ピッキングが終わると思うとうれしく、たぶんみんなも同じ気持ちだ。ただ終わりが見えてくると気持ちも落ち着かない。最後のブロックを取り終えて、ついにfinish。今日は102 bin。ついに終わったで。俺らのグループはみんなより早く仕事を始めて最後に終わった。結果的に、みんなより長く仕事ができて運がよかった。もう一度ピッキングをやれと言われたら、もういやだ。それぐらいしんどい仕事でlazyだ。でも、やってよかった。みんなとも会えたし。なんと言っても、ドンと知り合えた。

仕事が終わった後はビールで乾杯。うめえ。その後は最後の給料。う〜ん、感無量だ。ほんとドンには感謝だ。いいボスに出会えた。この後、メンバーがここを去る。来週の月曜日には俺1人になるやろう。ほんとにみんなと会えてよかった。お疲れ様。

今晩、ドン夫妻とニノが宿にやって来て、宿で飲むことになった。ドンは結構酔っぱらっていい調子だ。始めは40人近くいたこの宿も今は10人そこそこ。俺はビールを飲みながら、ワールドカップを見ているうちに眠くなってしまった。6人いた俺の部屋もヨハンが今朝でて行って、ドミとマーティンが隣に移って、とうとう俺一人。ヨハンにはいつも悪いことをした。毎朝、俺はなんか知らんがシュラフを下に落していた。その下のベッドがヨハン。毎朝、ヨハンは、

「マナブ、お前はどうしていつもシュラフを俺の顔の上に落すんや。どんな寝方してるんや。」

とよく言われた。しかし、彼とは仲良し。ドイツでまた会おうと約束をした。お疲れ様、ヨハン。

6月13日

「Total picking数」

昨晩2時ぐらいか。1人しかいないはずの俺の部屋がいきなり光った。俺は何がなんかわからんかった。どうやら、マーティンが写真を撮ったようだ。それと、

「マナブ、すまん。今日、この部屋を使いたいから隣の部屋の俺のベッドで寝てくれ。」

と言ってきた。疲れきったところにいきなり起こされて、出て行けだ。感じのいい俺じゃなければ怒ってるで。俺は笑顔で、

「わかったよ。」

と言ってやった。またもや有森裕子の心境だ。

今朝は予報通り朝から雨。昼ごろ、ドミ、マーティン、ルイス、孝君がここを去って、オークランドへ向かった。ドミとマーティンとは同じ部屋で、ドミはとにかくよく寝返りを打つ。これがまた速い。

マーティンはなんと言っても靴下。史上最大の臭さ。だから、マーティンが洗濯した日はすぐに臭いで分かる。

ルイスは途中からテント生活。彼はまだ19歳。まだまだ子供だ。

孝君は途中からこの宿に来た。最後の2日間まではチームは違ったが、泰司さん、俺、孝君と3人だけの日本人。よく一緒にビリヤードをした。彼はまたここに帰ってくると言ってた。

これで始めに10人いた俺らのメンバーは、俺、泰司さん、ダニーだけになった。人がだんだん減っていくのには慣れた。これで宿に残っているのは、俺、泰司さん、ダニー、マイク、マンディ、カリー、ジェイミー、リン、デヴィの9人になった。ついに10人をきった。このうち、月曜日までに5人が出て行き、始めからいたピッキングメンバーは俺だけになって、pruningをするのもピッキングメンバーで俺だけ。全く寂しいぜ。セニェール。

ここで、Total picking数を計算してみる。

date

Pergola

(bin)

T-Bar

(bin)

 date

Pergola

(bin)

T-Bar

(bin)

5/12

11.0

 

6/3

5.0

 

5/13

6.0

 

6/4

8.4

 

5/14

4.5

3.0

6/5

8.2

 

5/8-10,15-20

36.9

21.7

6/6

10.0

 

5/21,22,24,25,27,28

23.9

14.3

6/10

5.5

 

5/29

9.1

 

6/11

5.2

1.0

5/30

 

9.5

6/12

8.3

 

5/31

6.6

1.8

sub total

151.3

55.2

6/1

2.7

3.9

total

206.5

3000個/binとして、

3000×206.5=619,500個

すげえ !!

6月14日

 「南の国から祖国の応援」

昨晩はマイクとジェイミーといっしょにスペインvsナイジェリアを見ていたので、今朝は10時ぐらいまで寝てしまった。今日も雨。全くよく降るで。雨が降ったらすることがない。泰司さんとビリヤードするしかないやん。

昼すぎ、ドンfamilyが遊びに来て、Tax formをおいていってた。リンやカリーに詳しく聞いてみたら、20.7%もっていかれたtaxがNZに半年以上いると80%返ってくるみたいだ。半年未満やと20%。すごいやん。たぶん税金で$500近くもっていかれたから、$400近く返ってくるでは。$400あれば、シドニーに行ける。よし、半年待って税務署に行こう。

今晩、NZ時間で深夜12時半。生で、日本vsアルゼンチンをテレビで見た。マイク、ジェィミー、リン、泰司さん、マンディ、俺で見たが、結果的に日本は0−1で負けた。まあ、力の差は歴然だ。しかし、はるか南のNZで祖国日本を応援するのもいいもんだ。海外在中の日本人は今の俺の心境なんやろう。

6月15日

 「ピッキング戦士、泰司さん」

 

 今朝、泰司さんがオークランドへ向かった。昨晩のサッカーのため、俺は寝坊して、はっと気がついたら8時15分。やばい泰司さんのバスは8時半発。ドアのところには泰司さんからの置き手紙が。俺は勝手にここのチャリを借りてバス停へ向かった。着いたのが8時半ぐらい。ギリギリセーフ。泰司さんは俺に気づいてバスから降りてきて、2人でガッチリ握手をかわした。

 泰司さんは全く俺と反対の性格で、どちらかと言うと人と接するのを避け、感情を表さず、孤独を楽しむって感じだ。口数も少ない。俺は初めてここに来た時に、なんやこの人はと思った。何でこんな人がNZなんか来たんやろ、とも思った。

 泰司さん自身もピッキングが終わったら日本に帰る、NZは全然おもんないと言っていた。ところが、俺がオークランドや東南アジアの話をしてあげたり、2人でよくビリヤードしたり、色んな話をしたりしているうちに、とりあえずオークランドヘ行ってみると自ら言い出した。泰司さん自身、自分なりのしっかりした考えをもっていて、俺もそのことはわかっていたので、特にアドバイスはしなかったが、もう少しNZにいると考えを変えてくれた時はほんとにうれしかった。もし俺らが日本で会っていたら絶対親しくなってない。俺にとって泰司さんはそんな人だったから。

 その泰司さんが乗ったバスがオークランドへ向かった。孝君と違って、ほぼ同じような時期にここに来て、同じようにピッキングを待って、同じグループで1日も休まずにいっしょに働いてきた人だけに、バスが去っていった時はほんとジーンときた。やっぱり、残された人の方がつらいような。

 今日は快晴。さあ、タウランガを出る前にやらなければいけないことが。デヴィ、ダニー、ルーシーに写真を送って、e-mailのチェックだ。e-mailで大畑君(ネパールで会っていっしょに旅した)が礼文の「はまなす」で働く事を知った。彼が「はまなす」に行きたいと、日本を出る前の日に相談をうけたので、俺はこの情報にそれほど驚かなかったが、ほんまに行くんや。大畑君なら途中でやめずにやっていけるが、問題は大将との仲だ。大将はとにかく難しい人。その大将と俺は6年も付き合ってきた。毎年のように大将が嫌でやめるヘルパーがいる。とにかく、がんばれ大畑君。俺の代わりに「はまなす」は任せた。正直、俺は無性に礼文に戻りたい。この時期が来るとあかん。少し大畑君がうらやましいのが本音だ。

 今晩、マンディ、マイク、俺でパーティをした。マンディがシチューを作ってくれて、俺とマイクがビールを買った。当初の予定では、マイク、マンディ、ダニー、カリーが今日出る予定だったが、色々することがあったみたいで、4人とも明日に延ばした。

マイクやダニーに、

「学、いっしょにコロマンデルに行こう。」

と言われている。正直、俺らと別れたくないが、いっしょに旅するとどうか。新たな出会いを作りたい。う〜ん、どうしよう。