全国12億5000万人の加藤学ファンの皆様

日本全国離島シリーズ第1弾〜八丈島〜
「八丈島の焼酎の多さにはびびったで」




お久しぶりです・・・

皆様、こんにちは。ご無沙汰しております。

さて、ご存知の方も多いかと思いますが、私、加藤学は約5年ほどの放浪生活を終え、現在は日本でヒソヒソと会社員をしております。これまでの放浪(バックパッカー)という「旅」の生活から、今は人生という「旅」を歩んでおります。今年で会社員3年目。

5年近く放浪していた私にとって、短期の旅行は「遠足」です。周りの人々は、有休を取って、1週間ほど国内や海外に旅行に行っていますが、私の場合は、会社人になってこれまで、特にどこかに行こうという気もおこらず、くだらん遠足に時間と銭を費やすなら、映画を何本か見ていた方がましと思っていました。

しかし、今年になってバイクを購入したことが、心境の変化をもたらしました。時間を見つけてはブラブラと風を感じながら西へ東へとバイクを走らせていくうちに、ついに私の身体奥深くに封印したはずの魂に火をつけ、そのマグマが先日の浅間山のように爆発しちゃいました。そして、ついに先日、数日有休を取って、バイクにテントとシュラフを積んで、行っちゃいました。行き先は、「八丈島」。

八丈島を選んだ理由は特になく、いつものようになんとなくです。もちろん、何の下調べもせず、ただ今回は日程が決まっていましたので、船のチケットだけ予約しました。

今回5日ほどの旅でしたが、本来の自分の姿に戻って、本格的に旅をするのは3年ぶりです。バンクーバーからヒッチでアラスカを目指した以来です。

八丈島をバイクで走っている時の感想。水泳の北島康介の心境です。「ちょー、気持いい。」


テーマ


さて、社会人になって初めての今回の八丈島への旅。
正直、金銭的な余裕もあるので、今までのような旅ができないのでは、という不安がありました。何かを得ると、何かを失う。今回も、ある程度金銭的な余裕があるので、お金で何かを解決してしまうのでは。しかし、いざテントを担いでバイクにまたがると、すっかり昔の自分に戻っていました

私は、旅をする時は何かしらテーマを持っています。今回の旅では、「食」と「地元の人とのふれあい」です。日本をバイクで旅していた5年前は、当然お金も最低限しかなかったので、各地の「食」には、それ程触れられず、自称食通の私としては、そのことが非常に心残りでした。

しかし、今回は地元の「食」、「人」に触れ合え、かなり満足できました(詳細別途)。八丈島に着いて、特に驚いたのが、焼酎の多さです。東京で飲める地場の焼酎と言えば、やはり九州のものが多いですが、八丈島には30種類も焼酎があったのです。これにはびっくりしました。

さて、先述のように、現在の私はどっぷりと日本社会に浸かっておりますが、やはり私の原点は「旅」「バックパッカー」です。久しぶりに本来の私の姿に戻った感想として、「たまには原点に戻るのも大切やな。」でした。忘れかけていたものを思い出させてくれましたね。

では、皆さん、またどこかで会いましょう


P.S.
八丈島の星は最高にきれかった。
来年は、再び我が阪神タイガースの年になるでしょう。


現在は地元である湘南より愛をこめて
3/10/2004
Manabu Kato




Topics; "Hachijyo Island" Vol. 143 - 147


ひょうたん島、八丈島


八丈島は、東京・竹芝桟橋より、約300km程南に位置するひょうたん型の島。人口9000人程で、周囲が60km程か。船で約11時間、飛行機なら羽田から45分で行ける。

もちろん、私は船で向かったのだが、頂けないのは、東海汽船の料金。東京〜八丈島までは、船で約11時間。二等料金が7180円。これはまだわかる。問題は、バイクの料金。9170円はぼったくりや。さらにむかついたのは、バイクに積んだ荷物について。全部降ろしてくれとのこと。私は、これまで色んな離島に行ったことがあるが、こんなこと初めて。さらに、むかついたのは、バイクから降ろした荷物を預かってくれるか聞いてみたら、OK。但し、手荷物として追加料金をもらうとのこと。これにはさすがにむかついた(ちなみに、八丈島から帰るバイクに荷物を積んでて問題なかった)。

私が八丈島に滞在したのは9月19日〜22日。この時期は、シーズンオフだが、船には思ったよりも人がいた。一番多かったのは、釣り竿を持っている人々。次は、連休を利用して短期の旅行者。その次は、帰省客。

八丈島に着いた日は雨だったのが、八丈島に着いて最初に思ったことは、べたなコメントだが、「東京にもこんなところがあったのか」だった。東京都心部では見ることができない亜熱帯性植物が至る所にあった。ハイビスカス、フェニックス・・・。
また、私が着いた9月19日は、島の小学校で運動会が開催されていたが、ある小学校で大漁旗がなびいていたのは、いかにも漁村らしい。

私はこれまで色んな離島に行ったが、八丈島は、島の大きさに関しては、大きからず、小さからずといったところか。島を一周するだけなら、半日あれば十分。八丈富士を囲む島の北側(三根、永郷、大賀郷地区)は、どちらかと言うとフラットで、回っていてそれ程面白くなかった。繁華街は三根、大賀郷地区に集中していたので、娯楽ならこの辺りがお勧めである。島の面白さを感じるなら、やはり三原山を囲む南側(樫立、中之郷、末吉地区)だろう。三原山の方が、火山としても歴史が古く、そのせいかこの周辺は温泉が豊富。また、末吉の洞輪沢港周辺はサーファーが群がる。

島には、駐在所ではなく、警視庁八丈署という立派な警察署があるのにはびっくりした。礼文では、飲み屋には島の人々は車で行くのが当たり前だが、八丈島の飲み屋では、「車でお越しの方はアルコール禁止」といったような張り紙をよく見かけた。結構、警察の取締りがあるとのこと。以前は、事前に報告があったのが、最近は抜き打ちが多いとか。しかし、島の飲み屋には車がたくさん駐車されており、ある飲み屋のおばちゃんに聞くと、「やっぱり、みんな車で来て飲んでるよ。」だった。私がいた頃は、ちょうど秋の交通安全週間中で、やたらパトカーを見かけた。

八丈島には、やたら韓国料理屋が多い。焼肉屋であったり、スナックであったり。その理由は、はっきりわからないが、島の人に聞いてみると、昔、島の若者の結婚相手に連れて来られたとか、島に移住してきて住みついたとか。ある人が言うには、八丈島の今の小学生の数十%は、この韓国人や他の移民との混血で、純粋八丈島人が少なくなってきているとか。

産業は、漁業と観光業。産業としての漁業もそうだが、島にはやたら釣り人が多い。私がいたキャンプ場にも、頻繁に東京から釣りのために島に来る人がいた。島の至る所で、釣り人を見かける。この時期、ムロアジやサバをよく釣り上げていた。

アクティビティとしては、スノーケリング、スキューバ、サーフィン、トレッキング、登山。私の場合は、今回、バイクでのツーリングがメインで、とにかく走っていて非常に気持ちいい。潮風を体全面に浴びながら、ハイビスカスやフェニックスの街路樹の中を走る。街中以外に信号で止まることもほとんどない。走っている最中に私の口からは、「ちょー、気持いい。」の連発。私は、アテネ五輪の平泳ぎで2冠を達成した北島康介を意識した。

しかし、島の人の運転は非常にゆっくり。快適に走っている中で、島の人の車に遭遇すると参った。追い越し禁止車線が続くとどうしようもない。
ガソリンは、152円/リットル。高いのは仕方がない。輸送コストがこの価格に反映されているが、ここ最近の原油の高騰も影響しているのだろう。


夜になると、空は一面星空。天の川もくっきり見えた。私は、1日目の夜は海岸に仰向けになって、焼酎を片手に、2日目の夜は島の人お勧めの南原の海岸までバイクを走らせ、この満天の星空をボーっと眺めていた。夜の明かりがない空気のきれいなところに行くと、本当に星のきれいさに驚かされる。私は、ここ最近都会の生活に身体も汚れていたが、この星空は、非常に懐かしく、忘れかけていたものを思い出させてくれた。




温泉、トレッキング・・・


八丈島には、八丈富士、三原山と二つの火山がある。古く誕生したのが三原山で、その周辺の末吉地区には、中之郷地区、樫立地区には温泉がある。私はそのうちの末吉温泉「みはらしの湯」、洞輪沢温泉、裏見ヶ滝温泉、中之郷温泉「やすらぎの湯」、樫立温泉「ふれあいの湯」と3日間で6ヶ所の温泉に入った。

末吉温泉「みはらしの湯」・・・
その名の通り、高台にあり海に面している。新しい温泉で、きれいなところ。夕日の時間は、海に沈む夕日が望める。入浴料500円。

洞輪沢温泉・・・
「みはらしの湯」から、バイクで5分ほど走った青い建物のところで、入浴料無料。ここから少し先に、波乗りを楽しんでいる人々がたくさんいて、この温泉はサーファー用。「どうぞ、冷えた身体を温めて下さい。」といったところか。
無料だが、朝9時から夜の9時までが営業時間で、周辺の部落がこの温泉を管理している。私は、朝風呂を入りにここに来たのだが、その時は地元のおっちゃんが一人だけいた。おっちゃん曰く、「朝が一番湯がきれい。」とのこと。石鹸、シャンプー使用禁止。

裏見ヶ滝温泉・・・
裏見ヶ滝というその名の通り、水が流れ落ちるのを裏から見られる滝から道路を挟んだところにある。ここも入浴料無料で、近くの部落がここを管理している。はっきり言って、お金を取ってもいいぐらい非常にきれいに管理されている。私は、裏見ヶ滝まで歩いて、その汗を流しに温泉に入りに来たのだが、ちょうどのその時、地元の年配の夫婦と一緒になった。
おっちゃん曰く、部落でお金を出し合って当番制でこの温泉を管理しているのだが、その管理に結構お金がかかるらしい。有料にしようとの声も出ているようだが、無料と詠っている以上、どうしようもないそうで、何よりも有料にすると観光客が減るのではとの懸念の声もあるらしい。
無料をいいことに、若い観光客のねえちゃんの中には、お湯を好き放題使い、その度にガスを消費する。そのことには、おっちゃんもむっとしていた。
ここも石鹸、シャンプー使用禁止で、入浴時は水着着用。

中之郷温泉「やすらぎの湯」・・・
裏見ヶ滝からさらに海側に進むと「やすらぎの湯」がある。私個人的には、ここの温泉が一番好きである。こじんまりして、窓の向こうには海が見える。入浴料300円。

樫立温泉「ふれあいの湯」・・・
私が行った温泉の中で、浴槽は一番大きかったように思う。その分、駐車場も大きく人も多かった。キャンプ場であった地元の人曰く、「この温泉は、じいさん、ばあさんが多く、浴槽内で気持ちよくなっておもらしをする。だから、絶対行かない。」って。入浴料300円。

八丈島の温泉は、どちらかと言うとしょっぱかった。ただ、観光客用にどこもボディソープを貸してくれたのはありがたい。

また、時間を見つけてトレッキングも行った。

裏見ヶ滝・・・
トレッキングというよりも、お散歩コース。10分ほどトラックを歩くと滝を真裏から望めるポイントにぶつかる。このトラックで印象に残ったのは、トラックに入る時の亜熱帯の植生。でかいシダやフェニックスがトラックを覆っていた。

唐滝・・・
裏見ヶ滝温泉で一緒になった地元のおばちゃんが薦めてくれたコース。トラックの入口を探すのには、バイクでウロウロし、少々時間を費やした。唐滝まではひたすら登り。トラック自体はそれ程難しくないが、気温が30℃近くあった中をジーパンで歩いていたので、途中で単パンに替えた。
片道40分ほど行くと唐滝に着いた。何十メートルも上から滝が流れ落ち、滝壷は藻が結構あったが、私は迷わずに滝に打たれ、滝壷に入った。非常に冷たくて気持がよかった。

八丈富士・・・
5合目まではバイクで行ける。その駐車場から歩き始めたのだが、ひたすら階段が続く。これが結構辛く、階段ばかりで飽きが来た。
40分ほど歩くとカルデラを1周できる分岐点に出るのだが、そこからは頂上までは岩場を歩く。これが結構危ない。この日は、頂上付近はガスが掛かっており、風も強くさすがに寒かった。
歩き始めてから1時間ほどで頂上に着いた(標高854メートル)。頂上は石碑がぽつんとあるだけで、ガスのため周りは何も見えなかった。
それからカルデラを1周したが、溶岩が固まったような石がコロコロしていたのを見ると、かつてこの山も活火山であったことがうなずけた。



食、食、食


島には食が抱負だった。島の食を味わった私の満足度は、ほぼ100%に近い。私が味わったべたな島の味から、マイナーな味に至るまで紹介したい。


明日葉・・・明日葉は色んな形のものを食べた。そば、天ぷら、お浸し、胡麻和え、アイスクリーム。明日葉の味をそのまま感じるのは、お浸しが一番よかったが、お浸しだと少し癖が出る。明日葉は元々島に自生していたとか。


島唐辛子・・・明日葉そばを食べに行った蕎麦屋で、店のおばちゃんに、
「箸で唐辛子を潰して、必ず一切れだけ入れて。それで大丈夫なら一切れ追加して。」
と言われ、嘘やろと思ったけどほんまやった。島唐辛子は辛い。たまに、おばちゃんが言ったのを無視して、手で唐辛子を潰して、その手で顔を触って涙が止まらなくなる観光客もいるらしい。
島唐辛子の辛さに慣れるとうまい。島の人は、刺身を食べる時は、島唐辛子を入れた醤油を使うらしい。すし屋「みつ橋」のおばちゃんに庭で栽培している島唐辛子をいくつか頂いた。


里芋・・・
島の人は、里芋を単に蒸して皮を剥いて、塩をつけて食べることが多いらしい。私は改めて里芋を味わって食ったことがなかったが、甘味があってうまかった。


オクラ・・・
島ではオクラも有名。


ハイビスカスの天ぷら・・・
キャンプ場のじいさんに頂いたのだが、花が萎む夜にハイビスカスの花を摘んで、そのまま衣をつけて天ぷらにする。これがうまい。歯ごたえがあり、それでいて癖がない。私ははまった。


島豆腐・・・
島には豆腐屋があり、普通のにがり豆腐を作っているのだが、これが結構濃厚でうまかった。


ムロアジのクサヤ・・・
島の名物を挙げると、まずこのクサヤが入ってくるのではないか。クサヤは臭いというイメージがあると思うが、この島のムロアジのクサヤは、それ程臭くなくうまい。


尾長鯛の刺身・・・
島でも高級魚らしい。コリコリしてうまい。島の漁師さん曰く、この硬い皮をみじん切りにして食うのがたまらんとか。


ブダイの刺身・・・
キャンプ場で漁師さんがさばいてくれた。歯ごたえがあり、さすが鯛といった感じだった。


河豚の味噌汁・・・
これもキャンプ場で食べさせてもらった。八丈の河豚は毒はないとのこと。いい出しが出てた。


トビウオのさつま揚げ・・・
飲み屋で出してもらった。島の家庭料理といったところか。


海亀の煮込み・・・
飲み屋で出してもらった。亀というよりも、食感は牛に似ている。味噌で煮込むのに合っている。


亀の手・・・
飲み屋で特別に出して頂いた。トコブシのように岩にくっつく貝で、形が亀の手に似ている。通常、味噌汁のだしにするらしいが、私には塩・胡椒で炒め、バターで香りをつけて出してくれた。これがうまい。


島寿司・・・
その日獲れたネタを寿司にするだけなのだが、ネタに塗るのがからし醤油。保存性を考えて、からしを使うようになったらしい。このピリ唐が寿司に合う。



パッションジュース・・・
パッションフルーツという亜熱帯性の果実の黄色の果肉をジュースにしたもの。熱帯の果物という感じの味だった。


八丈島牛乳&アイスクリーム・・・
島に牧場があり、そこで作られた牛乳が島で買える。その牛乳で作ったアイスクリームは、純牛乳で作ったせいか、非常に濃厚でうまかった。

島の農業の中心は、観賞用のフェニックス栽培。島の至る所で、フェニックスのプランテーションが見られる。フェニックスの製造は、八丈島が世界一とか。フェニックスの北限は、この八丈島らしい。
野菜栽培などは、フェニックス栽培の片手間でやるほどフェニックス栽培は重要。

































焼酎の多さにはまじでびびったで


最近、焼酎バーたるものが首都圏でも流行っているが、焼酎と言えば九州のものが中心。しかし、八丈島にもあんなに焼酎があったとは驚き。

島には、4〜5箇所醸造所がある。各醸造所で4〜5の銘柄を持っているので、島全体で30本近く焼酎が存在することになる。最近焼酎にはまり始めた私としては、こんなおいしい話は放っておく訳がない。私は3日間で10種類程飲んだ。そこでいくつか印象に残ったのを紹介する。また、竹芝ふ頭の喫茶店でも何種類か島焼酎が飲める。

八重椿・・・
島焼酎はブレンドが多い。多いのは麦と芋。私はどちらかと言うと、芋の臭い焼酎が好きなのだ。そこで、芋の香りがするものを酒屋のおばちゃんに選んでもらったのが、この「八重椿」。芋の臭い香りというよりも、さわやかで甘い香り。芋が苦手な人にもお勧めかも。

黄八丈・・・
麦焼酎。純の麦焼酎で、私が飲んだ中では一番うまいと感じた。

情け嶋・・・
昔は「島の華」が島の至る所で飲まれていたらしいが、現在島で一番飲まれているのが「情け島」。要するに、おいしくちびちび飲むというよりも、がばがば飲む焼酎。チュウハイにもこの手の焼酎が使われているのだろう。味的には後添加型で薬っぽい。おいしい焼酎を求めている私としては論外。

島流し・・・
芋焼酎(ブレンド)で一番値段の高い焼酎。値段の割には・・・というのが正直な感想。

青酎・・・
隣の青ヶ島で製造される焼酎で、現在幻と言われ入手が困難。八丈島でもあるところにしかない。これも、芋、麦のブレンドだが、独特の甘味がある変わったタイプ。私が学生時代に飲んだ北海道男山の御免酒に似ている。島の人によれば、現在製造が追いつかないので、中には後添加しているものもあり、品質が落ちているとの話。




キャンプ場のなぞのじいさん

底土港から右手に徒歩5分ぐらいのところに底土キャンプ場がある。港からすぐの立地条件な上に、すぐ横は海で、地理的には非常に便利。バイクで2〜3分も町中に走らせると八丈ストアーがあり、生活品はここでほとんど買える。

キャンプ場の料金は無料。その上、水道、トイレ、シャワー(水のみ)も完備され、非常にきれいに管理されていた。どうやら町がこのキャンプ場を管理しているようである。芝の状態も非常によく、夜は波の音を聞きながら眠れ、この数日間私は非常に心地よくこのキャンプ場を利用できた。

キャンプ場自体かなり広く、炊事場を挟んで左側、右側とテントサイトがあり、私は右側にテントを張った。シーズンオフということもあって、私以外にテントは5つ。学生、旅人・・・。その中に、大きなテントがあり、そこには背の曲がった白いシャツを来た色の黒いじいさんが住んでいた。

じいさんは、今年76歳。「しょうさん」と周りは呼んでいた。じいさんの話は、島の人からもちょくちょく耳にしたが、最初私は「島のホームレスかな。」と思ったが、結局のところ正体はよくわからなかったが、毎晩のように島の人がじいさんの元に集まるところを見ると、かなり慕われている人物のように感じた。

ある晩、島の居酒屋で飲んだ帰りに、私はそこの大将から明日の朝食にということでお土産を頂いた。キャンプ場に戻って、まだじいさんの周りで島の人とキャンプ場のメンバーが集まっていたので、そこにそのお土産と島焼酎を持ってお邪魔した。すると、じいさんは、その日獲れた魚の煮つけを私に差し出し、その場でハイビスカスの天ぷらを作ってくれた。ハイビスカスは夜になると花が萎み、それをちぎって天ぷらにするだけ。ハイビスカスは、島の至る所にある。これがまたうまい。味に癖がなく、コリコリする食感がいい。

翌晩、じいさんは、地元の漁師さんが獲った河豚をお汁にし、私が島に来るのが初めてと知って、島の名物であるムロアジのクサヤを焼いてくれた。じいさんは、料理もうまい。漁師さんも数人いて、ブダイの刺身なども食わしてくれた。

こうやって、島の人はじいさんを慕って集まってくるし、じいさんはキャンプ場に来た我々を歓迎してくれる。しかし、キャンプ場のマナーを乱すような奴は、じいさんが追い出す。私がいた時も、ばか騒ぎしてた外国人の団体を追い出していた。みんながいない時間が空いた昼間は、コツコツと草むしりをしていた。じいさん曰く、「この無料のキャンプ場を町は有料化しようとしている。そうなると観光客も減る。だから、俺がキャンプ場を守って、それを阻止している。」

見た目はホームレス。しかし、島の人に慕われ、キャンパーを快く歓迎してくれる。また、キャンプ場には、東京から休暇を取って、一人でテントを張っている女の子もいて、久しぶりにワイルドな女の子と会えて、私はうれしかった。

じいさんは、私が帰る時も、やさしく手を振ってくれ、「こんな島でも、また来ることがあれば、またこのキャンプ場に来て下さい。」
と言葉を残してくれた。