全国加藤学ファンの皆様スペシャル
シアトル野球観戦特別企画
「一応、イチロー・佐々木によろしく言って来ました(返事はなかったけど)」
Written
in Vancouver, 5/5/2001
皆様、こんにちは。つい最近、シアトルで野茂とイチロー対決で盛り上がりましたが、その前にシアトルまで行って、イチロー・佐々木のいるマリナーズの試合を見てきました。対戦相手は、運よく長谷川のいるアナハイム・エンジェルス。シアトルでは3試合見たのですが、イチローは毎日、佐々木は初日、長谷川は3試合目に見ることが出来ました。いやー、イチローはすごいですね。1番イチロー、3番マルチネスの声援は別格です。そして、その結果をちゃんと残すところはさすがです。佐々木は「Kazu」という愛称で親しまれていて、その声援もすごいです。 シアトルには、NZ時代に知り合って、ヨーロッパを1年旅し、NZに戻る際にここに立ち寄った史上最強のワーホリこと子呼呂(こころ)さん(彼についてのエピソードはNZページに書いてあります)と向かいました。試合の流れ、シアトルでの過ごし方は子呼呂さんのまとめた滞在記にこと細かく書いてますので、詳しくはそっちを読んでみて下さい。今回、私は野球以外のことも踏まえて少し補足します。 では、日本の皆様。ゆっくりとお楽しみ下さい。 |
☆シアトルという街 シアトルはバンクーバーから車で3時間ぐらいのところにある。海に面したのどかな都会って感じか。魚介類もかなり豊富。私は今回アメリカに入国したのは始めてだが、正直、「アメリカ」と少し身構えて乗り込んだわけだが、シアトルはバンクーバーに雰囲気が似てて、これには少しがっかり。当然、downtownはバンクーバーに比べるとかなりでかい。高層ビルも建ち並び、交差点や信号、交通量、人も多い。しかし、街中はかなりきれい。私はもっと汚いイメージを持ってた。とにかく、バンクーバーと雰囲気的にはほとんど変わらず、NY、LAそしてここに来た子呼呂さんは、この街のきれさに驚いていたほどだ。しかし、港町はどうしてこんなに坂が多いのだろう。NZのオークランド、ウエリントン、ダニーデン、カナダのバンクーバー、函館、小樽、長崎、そしてここシアトル。人々はゆったりした感じだが、黒人を多く見かけたのはさすがはアメリカだ。それに、使われてる通貨はもちろんアメリカドル。ビールはライト系のバド、ミラー、そしてjunk foodのるつぼ。これ以外は、私にとって特にアメリカを思わせるものはなかった。日本人観光客もかなり見かけた。彼らももちろん野球観戦だろう。今回の我々の目的は、あくまでも野球観戦がメインなので、アンチYHA派の私ではあるが、球場に一番近い安宿であるYHAにstayした。もちろん多くの日本人を同じ宿で見掛けたが、彼らのほとんどがバンクーバーからの学生やワーホリ組。我々の乗ったバスでも日本人を数人見掛けた。とにかく、バンクーバーと同じでここは住めばおそらく住み易いと思う。 |
☆アメリカの野球 その1(見る側の立場)
シアトルマリナーズの本拠地Safeco Fieldは数年前新しくできた開閉式の屋根付き球場。収容人数は5万弱。内野、ライト側は3階席まである。とにかくきれい。バックネット裏以外はネットがない。ファールボールは自由に持ち帰れる。我々が見た初日は、ナイトゲーム。次はデーゲームで、最終日は雨だったので屋根が付いてた。国民性もあるが、みんなリラックスしてる。練習中に外野に飛んだボールはスタンドのファンにあげたり、選手同士笑顔で歓談したり。イチローも背面キャッチを披露したり、すごくリラックスムード。
試合前は色んなセレモニーがある。始球式が何度かあって、その度に記念撮影してる。もちろん、ファンサービスも含まれている。そして、必ず国歌斉唱。ピッチング練習中の投手も、通路を歩いてる人も、売り子さんも、みんな起立し脱帽して国旗を見つめる。アメリカ、国歌にに関しては色々批判もあるが、私はこの姿には感動した。素晴らしい愛国心だ。日本では「日の丸問題」とかくだらないことで騒いでいるが、その騒いでる奴らに一言。そしたら、お前らオリンピックで日本人が金メダルを取って、表彰台で流れる日本の国歌もボイコットしに行け。
イニングの表裏の攻撃が代わる度に、お客さんを退屈させないように色んなアトラクションがある。ゲーム、クイズ、そして7回裏にはみんなで起立して合唱、ダンシングタイムがある。毎回、目立ったお客さんはスクリーンに映し出され、それをみんな楽しみにしてる。だから、目立った踊りをしてる人は一躍ヒーローとなる。音楽が頻繁に流れるので、みんなよく踊ってる。これは国民性だろう。お客さん、特にちびっ子にとっては、野球観戦は一つのamusementと考えていいかもしれない。
日本と違ってうるさいラッパの応援がない。そのため、一つ一つのplayが際立つ。ボールがミットに入る音、バットがボールを叩く音。いいplayには大歓声。ミスにはブーイング。マリナーズ側の攻撃の時は、所々色んなsoundが流れて、それに合わせて手拍子する。waveもあるし。マリナーズのチャンス時、相手側の打者が追い込まれた時などには、visionに、「noise」という文字が映し出され、客がうなる。これらすべての音響が、うまく「動・静」を作り出し、それが野球そのものをよりよく装飾してる。
☆アメリカの野球 その2 (技術面)
小学生、中学生時代に野球をしていた私は、メジャーの技術的な面もすごく興味があった。気づいた点を簡単に箇条書きにしてみる。
・とにかく「power」。日本の野球が「技術」なら、アメリカの野球は「力」だ。これは大前提。この事を踏まえると、日本でpower hitterである巨人の松井は、どちらかというとメジャー向き。
・イチローの振り子が小さくなって、構えの重心が低くなってる。これは、メジャーの「力」に対抗するために意図的にイチローはそうしてると思う。
・ピッチャーは上半身を使って投げる。「力」資本のアメリカ野球なら肯ける。日本のピッチャーは体全体を使って投げる。つまり、下半身・上半身がうまくmatchして、そしてきれいなフォームが完成される(打者側からするとタイミングは合わせやすいだろう)。しかし、アメリカの投手は力任せ的なところがあるので、その分フォームが汚い。
・カウント2-0から勝負する。「力」がある者が勝つ。つまり、遊び球や心理戦は必要なしってことだろう。
・縦の変化よりも横の変化が主体。私が見た試合でフォークを投げるピッチャーは佐々木ぐらいだった(佐々木自体も日本よりも圧倒的に直球が多くなった)。つまり、フォークよりも、カーブ・スライダー系統の球種、チェンジアップ、そしてシュートを直球に混ぜて使う。
・外野手が全体的に深い。外野が深めに守ってるのを見ると、ここでも打者の「力」が強調される。2番打者、下位打線でもその守備位置はほとんど変わらない。
・バンドはほとんどしない。例えば、1番打者がノーアウトで出塁。回は序盤で、次は2番打者。日本では間違いなくバンド。しかし、こっちではその気配もない。小細工はいらないってことだろうか?
以上のことを考慮すると、日本・アメリカの野球は少し違うものと考えていい。だから、大リーガーが日本でそれ程活躍しなかったり、アメリカで芽の出なかった選手が日本で活躍したりするのが肯ける(お金の問題もあるが)。アメリカでは名が知られてない元阪神のバースやオマリーが日本で大活躍した。フィルダーなんて日本の野球を覚えて、アメリカに帰ってホームラン王を取ったほどだ。日本でそこそこの選手はアメリカでも通用すると考えていい(しかし、阪神の星野はあかんやろう)。つまり、舞の海や智乃花でも幕内で相撲が取れるってことだ。ましてや日本でも力で勝負する選手はアメリカ野球にはもってこいだ。さあ、日本のプロ野球選手諸君。アメリカに行きたければ、どんどん行って挑戦したまえ。これで日本の野球が下火になっても、それが時代の流れだろう。どんなことが起きようが、私は阪神ファンを決して止めない。ただ、阪神の選手諸君には一言言っておく。もしセリーグに桑田・清原のいたPL学園、松坂のいた横浜高校があったら、我々はおそらく7位になってるはず。そのことだけは頭に入れておきたまえ。我々は特別であるのだ。
☆STARBUCKS COFFEE発祥の地 STARBUCKS COFFEE第1号店は、観光客で賑わうPike Place Marketの商店街にあった。特に目立った外装でなく普通の商店街にある一つのお店って感じで、下手すると見逃してしまいそうだ。おそらく昔のままの広さだろう。店内はそれ程広くないし、中にはテーブルも椅子も無い。to go (お持ち帰り) only。木を基調とした質素な内装ではあるが、ガイドブックに載っているのか、かなりの観光客がここを訪れてた。第1号店という標識も店内にある。STARBUCKS COFFEEのロゴはここだけ当時のまま。 1971年4月にここシアトルのPike Place Marketに第1号店が誕生した。このSTARBUCKSという名前はHerman Melvilleの「Moby Dick」に出てくるコーヒー好きな登場人物から来てるらしい。オリジナルのロゴである二本足の人魚(ギリシャ神話のセイレン:美声で船人を遭難死させた半人半鳥の海の精)は、16世紀のノルウェーの木版から取ったもの。私はここでdark soffeeを頼んだ。 とにかく、今やSTARBUCKS COFFEEは世界を代表する産業の一つ。最近ヨーロッパ第1号店がスイスにopenしたし、STARBUCKS COFFEEにとって最大のmarketは、今は日本のようだ。Vancouverにも至る所にあるし、目抜き通りのRobson St.には交差点を挟んで向かい合わせにSTARBUCKS COFFEEがある。私が以前topicsで書いたように、ここのコーヒーは味的にも悪くない。不思議なのは、STARBUCKS COFFEEで何か頼むと、必ず紙コップでorderが来る(冷たい系はポリエチレンのカップ)。普通のcoffee cupでは来ない。なぜだろう? |
☆Asian Market 「宇和島屋」
一度新聞で読んだのだが、イチローは大の牛タン好き。そして、イチローがシアトルに来るということで、シアトルのAsian supermarketの「宇和島屋」の社長は、イチローのために牛タンを取り寄せるという記事も何かで目にした。私はそれを確かめるべく「宇和島屋」に向かうことにした。
「宇和島屋」はマリナーズの本拠地Safeco Fieldから歩いて10分ほどのところにある。この辺りは、新しく出来たshopping街、そしてアジア人街と言ったところか。そのせいか、アジア人がかなり目立つ。私がまずここで驚いたのは、店内の品数の多さ。普通のスーパーで売ってるもの以外に、陶器や電気製品、日本のお土産品なんかもあるし、紀伊国屋がテナントで入っている。食料品を見てみても日本と変わらないほど日本の通常のスーパーで売ってるものがある。これには驚いた。私は色々な国で、asian marketを見てみたが、ここにかなうところはなかった。バンクーバーもシアトルと同じ海に面した町であるが、シアトルは魚介類が豊富で、それに比べてバンクーバーのスーパーでは、鮭と鱒、イカぐらいしか買えない。「宇和島屋」の魚介類は日本の魚屋と変わらんぐらい品が揃ってる。活魚、生がき、アサリ、サンマ、アジ、サバ、マグロ、寿司ネタ・・・。枝豆もあったしな。ビールコーナーには、当然バド、ミラーとアメリカを代表するライト系のビールが多くのfaceを取ってるが、アサヒ、キリン、サッポロもそれに負けないぐらい多くあるし、ケース販売もしてる。ラオスの「Beer Lao」を見た時は感動した。なんでこんなんがここにあるのか。お米もコシヒカリ系のカリフォルニア米を中心に充実してる。とにかく、これらの品数には参った。仮に、この街で住んでも全く問題ない。店内で日本語もかなり耳にする。
さあ、肝心の牛タンチェック。あった。牛タンのテリヤキやったがちゃんとある。あの情報はガセではなかった。我々は、生の牛タンを買って、塩・コショウ、レモンで食べるつもりだったが、テリヤキはちょっとな。メニューを変えて、この日は牛肉を買って、一品はコチュジャンを入れて韓国風ブルコギもどきを作り、もう一品は塩・コショウのみのあっさり味にして食った。次の日は、魚とほうれん草を買って、魚の炒め物とほうれん草のお浸しを食った。シアトルに行く機会があったら、是非ここに寄って頂きたい。本当にすごい。日本と変わらない。
☆brewery兼pub
シアトルには、ビール工場付きの飲み屋がかなりある。つまり、独自のビールを飲み屋自身で作って商品にしている。ビール好きの我々にはこの情報はたまらない。そして、この飲み屋一覧表をgetして飲み歩こうと試みたが、時間や地理的な問題もあり、宿から一番近い「Pike Brewery」だけに行くことにした。
ここでは、ここで生産されているビールの7種類がtastingできる($5.00ほど)。我々は一つ一つtastingして点数をつけて評価したが、どれも悪くない。いわゆる地ビールは、上面醗酵で製造され、その酵母の処理が杜撰なので、その酵母臭さが私にはたまらない。これがビールにコクをつける。おそらく、ここで使われている酵母のstrainは同じなので、極端なlight系・dark系の違いは除いて、例えば同じラガー系のビールの味的な差はほとんど変わらない。
ここのビールは、いわゆる私の定義するビールに近い味だ。つまり、味がしっかりしてて、コクがあり、喉越しもいい。我々は、キリンラガーを基準にして点数をつけてみたが、どのビールも基準点をうわまってた(当然、好みによる)。始めは、私はアメリカのlight系をイメージしてたのだが。最後の日には、普通の飲み屋に行ってバドのジョッキを飲んでみたが、アメリカと言えばやっぱりこっちやな。時間があればすべての飲み屋を飲み歩きたかったが、これは次の楽しみに取っておこう。
☆アメリカドルの強さ
私は今回初めてアメリカに入国したのだが、とにかくアメリカドルの強さに圧倒された。現在、US$1.00=Canada$1.6ほど。つまり、カナダで$160稼いでやっとUS$100になる。値段だけ見ると、アメリカもカナダもそれ程変わらないが、それをどちらかのドルに換算するとその差はかなり大きい。これには本当に参った。飲み屋では、大体2人で1杯づつ頼む毎にチップとして$1.00づつテ−ブルに置いていく。カナダでもそうだが、私はチップという習慣がどうしても理解できない。チップというのは強制的なものではなく、それはお客さん自身の気持ちの問題であろう。我々はチップを払う前にGST(日本でいう消費税)をちゃんと払ってる。GSTとは、正式にはgood and service tax。その名の通り、ちゃんとサービス料を払ってる。なのに、なぜまたサービス料を払わないといけないのだ。ただでさえ、アメリカドルは今最強なのに。
私は途中からカナダドルに換算するのを止めた。計算すると悲しくなってくる。それに、物価自体も日本並みに高いし(今、日本円が弱いだけに余計だ)。通貨の強い国でお金を貯めて、そして通貨の弱い国を旅するというのが今までの私のスタイルだったが、今回その逆は初めてで、そのギャップにはかなりのショックを受けた。今回のアメリカ滞在期間は、昨年アジアを旅した時に、ラオス、ベトナムで使い残った米ドルがあったのでそれを使い、少し足らない分は米ドルを多く持っていた子呼呂さんに出し代えてもらって、カナダに戻ってからカナダドルに換算して返した。おかげで、私の手持ちの米ドルはすべてなくなってしまった。今、私が持っているお金はほとんどカナダドル。せめて、US$1.00=Canada$1.3ぐらいにならないものか。カナダドルでこれなので、NZドル、OZドルはかなり苦労してるやろう。全く、アメリカにも困ったものだ。日本円がもっと強くなって、相対的にアメリカドルが弱くなったら、少しは連動してましになるとは思うが。これから本格的にアメリカに下るというのに。
いかがでしたか?シアトル滞在記を楽しみにしていただけましたか?私は今、ほぼ毎日こちらの新聞で野球の結果はチェックしてます。バンクーバーはカナダなので、やっぱり地元のトロント・ブルージェイズとモントリオール・エキスポス(吉井、伊良部がいる)の結果が中心ですが、バンクーバーのローカル紙の"Province"には、「今日のマリナーズ」という小さなコーナーがあるので、それは欠かさず見てます。昨日、今日とイチローの記事が大きく載ってました。「野茂・イチローの日本のNo.1ピッチャーとバッターの対決がアメリカで実現。」「イチローは今日も5打数3安打。今やマリナーズのヒーロー。」ってな具合に。たまに「New York Times」で新庄の記事を目にしますが、最近は代打が多いようですね。中継ぎのエンジェルスの長谷川、エキスポスの吉井もがんばってますし、ロイヤルズの鈴木、レッドソックスの大家もがんばってます。私もこれから本格的にアメリカに乗り込みますが、もし各地を転々とすることになったら、間違いなく各地で野球を見に行くでしょう(ニューヨークでは間違いなく新庄の応援に)。では、今回の特別編はこれまで。次は、カナダ最終回です。では、今月末にまたお会いしましょう。 P.S.皆様、私宛てにいつも多大なメール、日本情報、本当にありがとうございます。ここで一つお願いです。大リーグで活躍してる日本人の情報を送ってきてくれる人が多いですが、大リーグ情報はこっちの方が旬です。私が気になってるのはあくまでも日本のプロ野球、そう我が阪神タイガース情報です。よろしくおねがいします。 ここ最近天気が安定しなく、気温はまだ低い バスのストの終わる目処が立たないバンクーバーから愛を込めて 5/5/2001 Manabu Kato |
Monthly Topics in May(5月号)
Written in Vancouver, 19/5/2001
「NZで会った日本人とCanadaで再会」
4月17日、史上最強のワーホリこと子呼呂さんが、1年にも及ぶ世界一周の最終地としてバンクーバーにやって来た。彼とは1999年2月にNZのクライストチャーチのバックパッカーで初めてご対面して、その年の3月にOZのシドニー、そしてその年の末に九州の博多でまたまた再会し、そして今度が4度目の再会となった。子呼呂さんは、1998年度のNZのワーホリの後は、2年ほどNZ、OZを行ったり来たりして、ヨーロッパを中心とした世界一周旅行に出かけ、そして再びNZに帰るところだった。同じように1998年度にNZにいた我々の共通の友人のりちゃんが、カナダでワーホリを過ごした後一時帰国するというので、我々は会うこととなった。 のりちゃんはdowntownのYHAにstayしてる。子呼呂さんは私の家でstayすることになってる。問題はバスのストライキ。私の家からdowntownまでは、バスでも20分以上はかかる。仕方がない。子呼呂さんがついた初日は、我々がタクシーでdowntownに向かって、のりちゃんと会うことになった。 のりちゃんはNZ時代と変わらないまま。子呼呂さんは、長かったスペイン、イタリアのおかげで、コミュニケーション不足になってる。とにかく、話したい。子呼呂さんと会うのは1年半ぶりだが、のりちゃんとは2年以上会っていない。お互い話したいことはたくさんある。しかし、どれから話していいかわからない。NZで会った共通の友達の近況のこともあれば、お互いの近況、お互いのNZ以後の足取り。話せばきりがない。我々は、まずはRobson St.にあるpubでビールでも飲みながら、色々語り始めた。 そして、その後は近くの韓国料理屋でめしを食って、私はカラオケパブに2人を連れて行ってあげた。旅で疲れきった子呼呂さんの心を癒してあげよう。このパブは以前topicsで紹介したように、日本人ホステスがいる。私は基本的にホステスが客の機嫌を取るのは大嫌いだが、この日はのりちゃんがいたのでホステスは来なかった。これはラッキーだ。子呼呂さんはここぞとばかりに歌ってた。のりちゃんともデゥエットしてた。 |
次の日は、のりちゃんを家に招待して、料理人の子呼呂さんが料理を作った。自称料理人の私ではあるが、子呼呂さんの前ではキッチンヘルプにしかならん。それだけ子呼呂さんの料理はすごい。この日のメニューは、あっさりシーフードパスタと、タコライス(メキシコ風)。もちろん、Christa & Davidも参加。お味は文句無し。早速、私はこのレシピをメモした。ちなみに、子呼呂さんがここに滞在中に作った料理(partyを除く)は、パエリア(スペイン料理)、赤ワインとタマネギを使って水は使わないカレー(インド料理)、ブルコギ(韓国料理)、豚の角煮、中華粥、オクラ粥。おかげで、どれも私はマスターし、そのレシピはちゃんとメモした。
めしの後は、3人でビールとワインを飲みながらゆっくりと時を過ごした。こうやって、3人で会うのはもうないかもしらん。お互い日本人で、NZで知り合って、そしてカナダで再会する。不思議なもんだ。しがらみの強い日本で、お互いその圧力に潰されず、自分の意志を貫き通しているその精神は客観的に見てスゴイと思う。以前、NZからも皆様に伝えたかもしれないが、日本にいる日本人と、海外を旅してる日本人は全く違う人種であるように感じる。ただ、お互い旅にきりがないことは感じてると思う。その後の進む道は、あとは個人の問題なので、それは自分自身で決めればいい。いやー、楽しかった。私はこっちでは、今までは周りにいつも人がいたので、出来るだけ自分の時間を優先させるように人との接触を断つように心がけていたので、久しぶりに、「人」と接したような気がした。またどこかで集まりたいが、それは運次第。神のみぞ知る、だ。我々はそのことを十分に承知している。
「今月のお勧め映画 vol. 4」
今月でこのtopicsは最後になるかもしれない。今月もsecond runでもいいのがあったので、それらも紹介する。
"How the Grinch Stole Christmas" (おすすめ度・・・)
Jim Carrey
Jim Carreyが小さな町に住むモンスターに扮したお伽話的な映画。このモンスターであるGrinchは大のクリスマス嫌い。しかし、この町に住むある少女は、何とかしてGrinchをクリスマスパーティに招待したがってる。結果的に、パーティに参加することになったGrinchではあるが、やっぱりこのパーティをぶち壊してしまう。この映画の見所は、何といってもJim Carrey扮するGrinchの動きだろう。非常によく演じられてる。この演技力には感心だ。映画的にも、so-so。
"the Family Man" (おすすめ度・・・・)
Nicolas Cage, Tea Leoni
New Yorkのばりばりビジネスマンが、ある日目が覚めると二児のパパとなっている。子供の世話とは全く無縁な彼。その孤軍奮闘記。それにしても、Nicolas Cageは本当に切ない役が似合う。"City of Angels"でもそうだった。私は基本的に彼の映画は好きなので見るようにしてるが。ちなみに、いつ見てもNicolas Cageはルー・大柴にそっくりだ。この映画は良かった。見ても損はしない。
"Miss Congeniality" (おすすめ度・・・・)
Sandra Bullock
FBIの女性捜査官が、おとり捜査のために「ミス・アメリカ」コンテストに参加する。しかし、彼女はまったく女っ気がないし、性格が男のように荒い。そして、コンテストのために彼女の大改造が始まり、その結果見違えるような美しい女性になるが、性格は元のまま。他のコンテスト参加者は、本当の州の代表者であるというのに。映画自体かなり笑える。本題の捜査よりも、コンテストでの彼女の動向の方が映画のほとんどを占める。これは面白かった。
"Driven" (おすすめ度・・・)
Sylvester Stallone, Kip Pardue, Burt Reynolds
スタローン主役のレーサー映画。若手の教育役に、レーサーに戻ったスタローンが、二人の人気実力ともN0. 1のレーサーに色々なことを教える。映画自体ほとんどがレースシーン。東京での場面もあるが、なんで日本のプールには国旗が掲げてあるのか?訳分からん。映画的にはまあまあかな。よくもなく悪くもなく。スタローンらしい映画といえばそうだが。スタローンが主役ってことで、日本でも流れると思う。
"the Mummy Returns" (おすすめ度・・・・・)
Rachel Weisz
1900年前半のエジプト、イングランドが舞台の映画で、エジプトの探検家夫婦が持ち帰った伝説のブレスレットを巡って、その夫婦とギャング団との争いが始まる。そのギャング団は古代のミイラをよみがえらせ、そしてそのブレスレットをつけた夫婦の子供を誘拐。舞台はいざ古代エジプトへ。映画自体は、少しアニメチックだったが、CGを使ったその壮大さはすごい。多数のエキストラを使ったスケールも肯けるが、何と言ってもハイテクを駆使したCG。この技術には圧倒された。前作を見てない私ではあるが、話は十分理解できた。絶対日本でも公開される。全米で公開時の週末だけで$70 million (約84億円)という記録的な数字を出した驚異的な映画。絶対見るべし。
"In a Savage Land (2000, Australia)" (おすすめ度・・・・・)
Hal Hartley, Maya Stange, Martin Donovan
第二次世界大戦前、あるOZの人類学者夫婦が、その調査にパプアニューギニアのジャングルに渡る。そして、原住民の住むジャングルでの調査が始まるが、その途中に夫が亡くなり、未亡人となった妻は他の調査員と結ばれるが、そのうち日本軍が攻めてきて、この妻はOZへの帰国を余儀なくされる。私はこの映画を見ながらバヌアツを思い出した。パプアもバヌアツも同じメラネシアン。映画の中にあるシーンで、村の人が死に、村人は伝統的な儀式をしようとするが、ある調査員はそれを止めさせキリスト教的な葬式をさせようとする。しかし、人類学者の妻は、この調査員に彼らの伝統を守らせ、変な刺激は与えないように説得する。私は、ここでこの映画監督に言いたかった。いくら、新しい文明の普及を阻止しても、学者であろうがいわゆる文明人がそこにいることが原住民には刺激になる。つまり、我々が知らなくてもいい世界があるってのをもっと強調して欲しかった。彼らは貧しいのではない。ただ、伝統を守っているだけ。しかし、この映画はおすすめ。絶対見るべし。
"Bridget Jones's Diary" (おすすめ度・・・・)
Renee Zellweger, Colin Firth, Hugh Grant
どう見ても鈍臭そうな30歳過ぎのある女性が、いかに男性の気を引くかというstrategyを日記に綴り、その時の心境なども語った日記を基に話が進んでいく。舞台はロンドンで、英語のアクセントはイングランド訛り。率直な感想、非常に笑える。非常に日常的で人間味がある映画だった。こっちでもかなりの評判。見ても損はしない。お勧め。
"Yi Yi (2000, 台湾)" (おすすめ度・・・・)
台湾の中〜上流階級のある核家族に関する映画で、日本の「サザエさん」のより日常的な家庭映画ってとこか。おばあちゃんは危篤状態になり、お父さんは仕事の関係上日本の企業との取り引きに迫られ、お母さんは日常のストレスから変な宗教に手を出し、高校生の娘は年頃で、小学生の息子は学校の女生徒にいじめられる。映画の展開的には非常にslowで、退屈と言えば退屈だが、なかなか奥の深い映画だった(3時間近くあったと思う)。とにかく、色んな人間模様が描かれており、複雑にその関係が入り組んでいる。マスコミからの評価もかなり高い映画。それにしても、台湾はいい映画を作っている。
「日本料理小鉢系を中心としたparty」
子呼呂さんがNZに戻る2日前の週末、我々自称料理人は地元カナダ人のために日本料理だけのpartyを企画した。本当の日本料理、できるだけ家庭料理を中心とした小鉢系のメニューを2人で色々考えた。ただ、ベジタリアンのことを考えなあかんし、生魚は食べられへん人もいるし。デイヴィッドは味噌はあかんし、逆にクリスタは味噌が大好きやし。一体どの辺りまで日本食OKなのか?生卵はあかんやろうし、生カキもあかんやろう。タンパク系をどうするか、炭水化物系をどうするか。我々の使いたい野菜は果たしてカナダで手に入るのか。魚はどんな種類が手に入るのか。2人で色々試行錯誤して、結局メニューと材料を買い物に行ったその日の昼まで考えに考えて、我々が用意したのは以下の通りだ。
大皿系 |
材料 |
備考 |
手巻き寿司(Main Dish) |
サーモンを表面だけ焼いたもの、アボガド、だし巻き、キュウリ、酢飯 |
酢飯と焼き海苔を用意して、後は各自に手巻きさせた。ソースは、醤油の代わりに私オリジナルのマヨネーズをツナと混ぜたものと、アボガドをワサビ醤油、マヨネーズで混ぜたものを使った。 |
おでんもどきのじゃが大根 |
馬鈴薯、大根、ニンジン、タマネギ、手羽先 |
おでん風に煮込んで、特製味噌に浸けて食べた。 |
テリヤキチキン |
チキン、アスパラガス、ニンジン |
あらかじめニンジン、アスパラをロールしたチキンを煮込み、照りタレをつけてオーブンで焼いた。 |
ホイコーロ |
キャベツ、イカ |
クリスタがveg、味噌が好きということで、これは中華料理ではあるが、彼女のために作り、肉の代わりにイカを使って、キャベツと特製味噌で炒めた。 |
焼うどん |
余った野菜、うどん |
野菜・うどんを炒め、塩・コショウ・醤油で味付けした。 |
焼魚 |
鮭、おろし大根 |
焼いた鮭に、酢・大根おろしでタレを作り、鮭に乗っけた。 |
あら汁 |
鮭のあら、魚肉 |
鮭のあらでだしを取った汁を塩で整え、魚肉をボール状にして入れ、魚の生臭さを消すために少しほんだし醤油を加え、つみれ汁にした。 |
小鉢系 |
材料 |
備考 |
揚げ出し豆腐 |
豆腐、片栗粉 |
片栗粉をまぶした豆腐をごま油で炒め、私の究極のそばつゆでタレを作ってかけた。 |
ほうれん草のお浸し |
ほうれん草、かつお節 |
茹でたほうれん草にかつお節をかけ、醤油で味付けした。 |
きんぴら |
ニンジン、ゴボウ、白ごま |
ニンジン、ゴボウを醤油とみりんで炒め、白ごまをまぶした。 |
酢の物 |
キュウリ |
塩もみしたキュウリを酢・砂糖で整えた。 |
だし巻き |
たまご、ほんだし |
たまごとほんだしでだし巻きを作った。 |
結果は大好評。みんな大喜びで、
「マナブ、こうやって食べるのは日本では失礼かな?」
とクリスタやキムに言われたぐらい、彼らはがつがつ食べてた。キムやリアンは、
「今まで食べた料理で一番おいしい。」
とpartyが終わって3週間たった今でも、そう言ってるようだ。ティナも作り方を教えて欲しいと何度も言ってきたし。手巻き寿司はみんな巻くのに苦労してた模様。それなりに箸はちゃんと使えてる。こっちで言う「日本料理」とはみんな「寿司」だけだと思いがちだが、我々日本料理はもっともっと奥深い。できるだけ家庭料理を中心に考えたのが正解で、みんな食べるのが初めてのものばかりだった様子。特に人気があったのは、揚げ出し豆腐。それと、あら汁、テリヤキチキン。肝心の小鉢系も一つも残らず、みんなすべて食べてた。個々の料理名を聞かれることは予想がついたので、私はあらかじめ日本語と英語で訳したメニューを各品々の下に置いておいた。ただ、やっぱり作り方は色々聞かれた。実際、子呼呂さんと私の2人ですべて作ったのだが、当然メインシェフは子呼呂さん。だから、子呼呂さんも事細かに作り方を教えていた。
とにかく、本当の日本料理、それも家庭料理を中心とした料理を彼らに紹介できて、我々も満足だ。自称料理人として、これだけ作ったら十分やし。大根とチキンは前日に下準備はしておいたが、結局全品当日4時間ぐらいで仕上げた。我々2人ともさすがに自称料理人だけあって、手際はよく、とんとんと事が運んだ。
世界を旅してて一番感じたこと、それは「料理とは国境のないエンターテイメント。」であるということ。とにかく、うまいものはうまい。言葉なんて要らない。料理は「人を喜ばせる最高のエンターテイメント」でもある。
めしの後は、子呼呂さんのブラックジャック講義で、みんなとの間をより近くした。いやー、満足満足。子呼呂さんも満足してた。ちなみに、翌日は母屋のdinnerに招待されたが、当然二次会はあらかじめ買い込んでいた食材を使って、2人でつまみを作って、最後の夜を2人で酒で明かした。
「広島・長崎への原爆投下に関するカナダ人の認識(少し主観的に)」
不思議と世界を旅していると、私が日本人と分かると、周りの諸外国の人達の中で、
「ヒロシマ、ナガサキ(特に、広島)。」
と言って来る人が多い。私がいたバヌアツのジャングルの人々でさえ、これらの地名を知ってたのには、正直驚かされ、ここバンクーバーでも例外ではない。東京や大阪よりも、特に広島は知名度が高い。先日、ティナに、
「マナブはアメリカ軍が原爆を日本に落したことをどう思う?」
と聞かれた。その他、ここバンクーバーでも多数の人々から同じような質問をされた。逆に、私は仕事場のトレバーに、
「では、実際お前らは学校でどのように原爆投下について習ったんや?特に責任問題について。原爆を落された日本が悪いのか、落したアメリカが悪いのか?」
と聞き返したら、
「責任問題に関しては教わってない。ただ、アメリカ軍が日本に原爆を落したという客観的な事実を習っただけ。おそらく、アメリカではアメリカ軍は正しい行為をしたという風に教えてると思うよ。」
と答えてくれた。そして、一度私は何人かいる前で私自身の意見を以下のように述べた。
「俺自身、アメリカ軍に感謝してる。原爆で多くの罪のない日本人が犠牲になったのは事実だが、その前に我々日本人は罪のない中国人や朝鮮人をまるでゲーム感覚で殺してた。だから、俺らがアメリカだけを批判するのは矛盾してる。第二次世界大戦を持ち掛けたのも、真珠湾攻撃した日本軍やし。もし日本が戦争に負けていなかったら、現在日本は北朝鮮のようなテロ国家になってたかもしらん。戦後も、憲法改正はしたが昔ながらの体勢が改善されていないのを、ちゃんとマッカーサーが変えてくれたし、その後も面倒見てくれた。もし、日本に原爆が投下されず、仮に日本が昔のままやったら、俺は今のように好き勝手海外を渡り歩けなかったと思う。原爆投下は新しい日本を作るいいきっかけになったと思う。俺は広島と長崎の原爆資料館にも訪れたが、そこでは原爆の悲惨さだけを訴えてるだけで、なぜアメリカ軍が原爆を落とすことになったのかという過程がどこにも記述されていない。これは、多くの社会見学に来てるちびっ子達に、真実を隠して、事実を少し違った形で伝えてることになると思う。何も知識のない子供たちに、「とにかくアメリカが悪いんや。我々は被害者や。」と言ってるようなものだ。今の教科書問題にしてもそうだ。日本では、近い将来学校の教科書が改定されるが、そこではひどいことをした朝鮮半島諸国に対しての記述をあいまいにして、ごまかそうとしてる。これはまさしくアメリカの「プラトーン」の世界。昔の否を認める勇気をもっともっと手本となる上に立つ人が持って欲しいし、とにかく俺は結果的に色々な批判はあると思うが、アメリカには感謝してる。」
ただ、カナダ人はアンチアメリカの人々が多いので、私がこう述べても、「アメリカが悪い」と思ってる人が多い様子。実際、責任問題の是非は問えないのも事実だ。あとは、個々の捉え方の問題になってくる。
客観的な事実に対して、人がどのような意見を持とうがそれは言論の自由が許されてる国内では個々の自由と言うしかないが、その事実に至る過程を正確に伝えるってのは非常に難しい。というのは、その情報には個人の主観が含まれることが多いからだ。マスメディアがどんどん発達し、特にスキャンダルやgossipを扱うメディアが人々から人権を得ているこの世の中、そして色々な分野の情報が飛び交いどんどんテクノロジーが進歩しているこの時勢では、益々客観的事実のみを伝えるってのは難しくなるだろう。そういう意味では、推測とわずかな物的証拠で成り立つ古代史は楽しいかもしれない。
「なぜ、日本は安全なの?」
Jan, Crista、Davidは学校の先生。いつも子供たちと接している。我々はたまに一緒にdinnerを食べ、その時に色々な話をするが、ある時、
「マナブ、なぜ日本は安全なの?どうして、3歳の子供が一人で道を歩けるの?どうして、日本人は日本は安全だと考えてるの?ねえ、答えて。」
と聞かれた時、私は何も反応できなかった。こんな答えの浮かばない質問はたぬきの置物の意味を聞かれた時以来だ。確かに、日本もここ最近凶悪犯罪が氾濫する世の中になった。ただ、アメリカに比べりゃどうってことない。私は色々答えを考えた。
「そう言えば、なんで安全ってみんな考えてるんやろう?」
韓国由来の儒教思想もその一つか?日本の警察制度も一理ある。刑務所に入ると厳しい生活があるのみんな知ってるしな(ちなみに、こっちでは囚人それぞれにテレビを与えられたり、自由に人が行き来したり、すごく刑務所は居心地いいらしく、あまりの居心地の良さにまた戻る人が多いみたい)。ただ、日本で生まれ育って今までそんな事は改めて考えたことはないし、危険な国を旅してても、
「ここに比べりゃ、日本は安全やな。」
とは思ったりはしたが、その理由まで追求したことはない。結局、色々考えたあげく答えが見つからず、
「これは昔ながらの習慣と言う以外何とも答えようがない。そしたら、なぜアメリカ人は拳銃を持ってるの?なぜ、カナダ人はホッケーが好きなの?という質問と同じと思う。」
という何とも情けない答えしかできなかった。うーん、いくら考えてもこの答えは見つからん。我々はなぜそう考えてるのだろうか?
「私からroom mateへのプレゼント〜有機栽培onlyの畑〜」
あと2週間もすれば私はここを去る。Christa & Davidには色々世話になった。そこで、私は何か形の残る贈り物をしようと考え、庭の荒れ地を使って家庭菜園を作ることにした。ただ、Christaはveg.で有機野菜主義者。下手に化学肥料は使えないし、我々はできるだけお金をかけないように畑を作ろうと考えた。私は、東大時代の荒れ地を耕したように、人間の手だけで畑を作ることにし、シャベル一本で荒れ地を耕し始めた。そう、数年前に長渕が東京ドームで、
「今日はギター一本でやりますから。」
と言ったように、私の心はまるでその時の長渕だ。ギターをシャベルに変えただけで、曲が流れれば「とんぼ」でも歌い出しそうな気分だった。しかし、仕事明けの疲れきった体に、この肉体労働はかなりこたえた。結局、この土台作りは半日かかった。歌どころではない。その日は、この後何もできなかった。
実際やったこととしては、まずは石拾いから。これが思った以上にある。深さ30cmぐらい掘り起こして、目に付く石を取り除いた。そして、肥料撒き。あらかじめ生ゴミと土を混ぜて作ってたコンポストをでき上がった圃場表面に撒いた。家でも馬を飼っているし、この辺りでは馬糞が簡単に手に入るので、馬糞を使うことも考えたが、仮に撒いても2人がその臭いで嫌な顔をしそうだったので、今回は諦めた。
問題は養分含量とpH。実際、この荒れ地にどれだけの養分含量があるのか?実際に土壌診断をしてみたいが、あくまでも家庭菜園やしな。そして、pH。アルカリ資材を撒けばそれでいいのだが、石灰は使えないし。私は枯れ木の灰を考えて、枯れ木を集めて火をつけるように2人に提案してみたが、どうもこれはここでは違法らしい。リトマスで実際にpHを計ってみても良かったのだが。お金をかけない本当の有機農法でやろうと2人と決めたし。しかし、2人は全くの素人やしな。基本的なことは完璧にしておいてあげたいしな。うーん、困った。結局、基本的な調査は何もできないまま、実際に苗作りに入った。土壌の問題もあるしな。余りに粘土層が多く、いわゆるA層が少ない。バーミュキュライトやパーライトを混ぜてもいいが、今回は見送ることにした。
作物の選択は2人に任せた。そして、Christaが選んだのは、イチゴ、キュウリ、カボチャ、トマト、レタス、大豆。また、大量に苗を作りやがった。おいおい、どうやって全部使い切んねん、このスペースで。ちなみに、私は空いた所に馬鈴薯とニンニクを植えることにした。苗作りは、温室もどきな部屋に、園芸用の土にバーミュキュライトを混ぜさせ、3本立てで苗を作るように指示した。
そして、1ヶ月ぐらい畑を寝かせた後、実際の圃場作りに入り、圃場は馬糞廃棄用のゴミ袋を少しもらって、幅を変えた畝を7本作って、マルチ農法にした。というのは、この時期まだ霜の心配をしないといけないし、雑草取りの手間が少しでも省ければと考えたからだ。圃場の大きさ的には、10mx15mぐらいか。
さあ、苗を植えようと思ってた時に、案の定小犬のフランキーに、マルチ用のビニールを無茶苦茶に引き千切られた。フランキーの種はジェックラッセル。遺伝的に穴を掘る習性がある。こうなると予想は付いたはいたが。全く困ったもんだ。私は、まるで悪い予感はしてたが、松井のワンポイントで遠山を出して、見事ホームランを打たれた後の野村監督の心境だった。そして、Davidにフランキー防御用の柵を作ってもらって、再びビニールを張り替え、とりあえず完成した。まあまあの出来かな。しかし、2人は大喜び。
これから2人に色々教えていかないといけない。肥料作りの件や支柱の建て方。摘心方法、圃場の管理方法。Christaは、カボチャとカボチャの苗間を私がわざと大きく開けたのをどうしても理解できない様子で、そこに何か植えると言って聞かない。うーん、全くの素人に果たしてこの後すべてを任してもいいのか?でも、これで自分達で野菜を作る喜びを少しでも体感できるであろう。あとは、温室もどきの部屋をちゃんとした温室に仕上げ、そこに余った苗とまた新たに彼らが買い込んできた苗を植えるスペースと棚を作るだけだ。